米司法省のApple提訴でスマホ市場は変わるか

先週に米司法省他が、独占禁止法違反を理由にしてAppleを連邦裁判所に提訴し、直後にApple株が4％下落した。最近巨大IT企業に対する政府からの提訴が増えており、Appleもまた独占禁止法に違反していないか審判を受けることになった。

アプリやウォレットを排除

　先週にアメリカの司法省、15州、そして首都ワシントンDCが、Apple（銘柄コード：AAPL）を反トラスト法（独占禁止法）違反を理由にして提訴した。提訴した先はニュージャージー州の連邦裁判所。この提訴を受け20日の終値は178.67ドルだったApple株は、21日に4％下落して171.37ドルで終了した。

　この提訴ではAppleが長年にわたり、そのスマホ市場における独占的な地位を利用して競合他社の開発した製品・サービスを排除するような行為を行ってきたと糾弾している。具体的には主に以下のような行為が指摘されている。

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スーパーアプリの排除：iPhoneには「スーパーアプリ」と呼ばれる、消費者が競合他社のスマホとの比較を容易にしてより便利で安価なスマホへの買い替えを促すアプリがあった。しかしAppleはアプリの審査過程でそのようなアプリを排除している。

クラウドストリーミングサービスの抑圧：クラウドを利用して消費者がハイクオリティなゲームを楽しめるサービスに対し、その開発を抑制するような行動をAppleが取ってきた。

メッセージアプリの排除：LINEのようなメッセージアプリは世界各国で使われている。そのようなメッセージアプリの中でもプラットフォームを問わず使えるものに対し、Appleは機能を制限するなど質を下げるよう促してiPhoneだけを使い続けるよう消費者に事実上強制している。

スマートウォッチの機能の制限：AppleはApple Watchというスマートウォッチを開発・販売している。スマートウォッチは基本的にスマホとペアリングする必要があるが、Appleはサードパーティーによるスマートウォッチの機能を制限して、消費者がApple WatchとiPhoneを使い続けるよう不当に促している。

他のウォレットの制限：iPhoneには固有のウォレットがついているが、Appleはサードパーティーによるウォレットを制限してiPhoneのウォレットを使い続けることを強制している。

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　主なものはこの5件であるが、他にもAppleがアプリ開発業者から最大30％の手数料を取っている点など多くの問題が指摘されている。これに対してAppleは「訴訟は間違っている」と述べて全面的に争う姿勢を示した。

　IT業界ではGoogleの親会社であるアルファベット（銘柄コード：GOOGL）も、ここ数年米政府から複数の訴訟を起こされている。その中にはすでに和解で終わったものもある一方、まだ係属中のものもある。EUでも巨大IT企業は提訴されており、大きくなり過ぎたGAFAMに対する反発は今後も続くだろう。