東京商品取引所が金の新取引を開始

日本の商品先物銘柄の多くを扱っている東京商品取引所が、新しい金の先物銘柄「東京ゴールドスポット100」の取り扱いを、7日から開始した。最近低迷している日本の商品先物市場だが、この新銘柄が復活への起爆剤になるだろうか？

限月を気にせずに取引できる

連休明けの再開日となった7日だが、東京商品取引所では新しい先物の取引が開始された。その名は「東京ゴールドスポット100（以下、「ゴールドスポット」）」と言われる。

ゴールドスポットはその名の通り金の先物取引銘柄なのだが、これまでの金先物との最大の違いは限月関係なく取引ができる点にある。

東商の金先物は2ヶ月ごとに限月が定められており、4月限、6月限、8月限などと区切られている。日本の商品先物銘柄は、期先（現在から遠い限月）に出来高が集中する傾向がある。そして期近（現在に近い限月）になると出来高が激減する。そのために、金先物をずっと持っていたい場合は、実際には2ヶ月ごとにロールオーバーしなくてはならない。ちなみに日経225先物の場合は、期近の方が出来高が多い。

2か月ごとのロールオーバーには手数料がかかるし、忘れてしまうこともあったりと不便が多かった。ゴールドスポットは、限月が関係ないためロールオーバーなしでずっと持ち続けられるというメリットがある。いわば、長期保有目的の投資家にとって便利な銘柄だ。

取引時間はこれまでの金先物と同じで、日中が午前9時から午後3時15分、夜間が午後4時半から翌午前4時となる。また取引単位は100グラムになる。これは既存の金先物で言うと、金ミニ銘柄に等しい。ミニは100グラムが先物1枚で、金先物は1キログラムが1枚だった。この単位だと、証拠金は1枚あたり数万円程度の比較的投資しやすい金額になる。

実際初日とはいえゴールドスポットはかなり人気だったようで、金先物で一番出来高が多い2016年4月限の出来高が日中で10,758枚だったのに対して、ゴールドスポットは12,525枚だった。初日ですでに金先物の一番多い限月を上回った。

商品先物は2000年代前半に強引な電話勧誘などを使って取引量を増やした業者が多かったが、それは消費者からの反発を高めた。結果として、政府によって強引な勧誘への規制が強化されてしまい、商品先物は2000年代後半から取引が減っていった。

そのためしばらく低迷していたのだが、最近勧誘の規制もやや緩和され、これから業界としての再起をかけることになる。今日開始されたゴールドスポットが好評なら、今後は白金など他の貴金属や、原油や大豆など別カテゴリーでも同じコンセプトの銘柄が立ちあげられるのではないだろうか？