日本の金利上昇が始まった

日本は2000年頃からほぼ一貫してゼロ金利政策を続けてきており、20年以上もの間銀行預金や住宅ローンの金利が極めて低い水準だった。長引くゼロ金利のため国民もそれを当然と考えるようになっていたが、日銀はこれから利上げに向かい今後は日本の金利がゼロでなくなる見通しが出てきている。

大手5行は預金金利引き上げ

　日本は1980年代後半にバブル経済があり、株・不動産価格が急上昇。しかし1990年にバブルが弾けて以降長期不況に突入した。

　景気が回復しないため、本来なら「異例」と言われる金利をゼロにする政策を2000年頃からずっと続けてきた。2006年頃に短期間金利を引き上げたこともあるが、2008年のリーマン・ショックによる景気落ち込みですぐにゼロに戻された。

　つまり2006～08年頃の短期間を除けば、日本は20年以上ゼロ金利政策を続けてきたことになる。また2013年に日銀が異次元緩和を開始したことで、低金利にさらに拍車がかかった。

　この20年間は銀行に預金をしても金利はほぼゼロ、住宅ローンもゼロに近い超低金利、そして銀行が企業に融資をする場合も低金利だった。ゼロ金利が長期化しているため国民はそれに慣れきってしまい、金利がつく世界を想像できなくなってしまった人々も少なくない。

　しかし今週19日に日銀は2007年以来17年ぶりとなる利上げを行った。同時に発表された声明では「今後も緩和を続ける」という内容が入っていたものの、その後「日銀は今年7月と10月に追加利上げを行う可能性がある」との報道も流れた。

　これからの日本はゼロ金利ではなく、プラスの金利がある世界になる。そうなるとまず銀行預金に金利がつく。19日の金融政策修正を受け、翌営業日の21日までに早速3大メガバンク（三菱UFJ、三井住友、みずほ）に加え、りそなと三井住友信託を含む大手5行が普通預金の金利引き上げを発表。引き上げ幅は全5行とも0.001％から0.02％への20倍の引き上げだった。

　今後日銀が追加利上げをすれば、銀行預金金利はさらに引き上げられるだろう。ただし海外の金利は5％程度と高いところも多いので、多少上がってもまだ海外の金利とは差がある。

　そして住宅ローン金利も今後は引き上げが考えられる。日本の長期金利が2022年頃から上昇しているため、長期金利を参考して決まる固定金利はすでに2019～20年を底として上昇している。

　一方短期金利を参考にして決まる変動金利はまだそれほど動いていないが、今後利上げが行われるとそちらも上がることが予想できる。ゼロ金利時代が長かったため、変動金利でローンを組んでおけば今後ずっと低金利で支払っていけると安心していた人々もいるかもしれない。しかし住宅ローンの超低金利がずっと続く保証はなかった。

　そして銀行の企業への貸し出し金利も上がっていく。最近20年余りの日本にはずっとなかった「（ゼロではない）金利」の概念が、また復活しつつある。