テスラが4年ぶりの減収減益も株価は上昇

米EVメーカーのテスラが24日のNY株式市場開始前に1～3月期の決算を発表。2020年4～6月期以来約4年ぶりの減収減益だった。しかし新車種の投入を前倒しすると発表したことなどを好感して、この日のテスラ株は12％高で終了した。

販売台数も減少

　アメリカのEV（電気自動車）メーカー・テスラ（銘柄コード：TSLA）が、24日のNY株式市場開始前に1～3月期の決算を発表した。

　その内容によると、売上高は前年同期の233億ドル（現在のレートで約3兆6000億円、以下同じ）より9％減の213億ドル（約3兆3000億円）だった。テスラが減収となったのは2020年4～6月期以来、約4年ぶりとなる。

　しかし2020年4～6月期と言えば、パンデミック開始直後で世界各国がロックダウンを行っていた特殊な時期だった。この時期は減収で当然であるが、今期はこのような特殊事情なしの減収であり深刻さが異なる。

　一方純利益の方は前年同期の25億1000万ドル（約3,890億円）から55％の激減で11億3000万ドル（約1,750億円）。EPS（1株あたりの利益）は0.34ドルだった。

　しかしこれらの数字は、アメリカの正式な会計基準に基づいたGAAPベースの利益額。テスラを含めた一部の米企業はGAAPベースの他に、非公式なnon-GAAPベースの数字も公表している。

　non-GAAPベースでのテスラの今期の純利益は、前年同期の29億3000万ドル（約4,550億円）から48％減の15億3000万ドル（約2,370億円）。EPSは市場予想の0.51ドルを下回る0.45ドルだった。

　そしてテスラにとって重要な販売台数は、前年同期の42万3000台から9％減の38万7000台だった。

　2021年頃から各国が将来のEVシフトを明確にしたことで、世界の大手自動車メーカーが次々とEV事業を強化した。その結果テスラはこれまで以上に厳しい販売を強いられ、一昨年後半から昨年にかけて何度も値下げを実施した。

　その結果昨年の決算では販売台数は伸びたものの、減益となった回が増えた。値下げにも関わらず販売台数だけは伸びていたが、今期はついに売上高・販売台数とも減少してしまった。そして減収は2020年4～6月期以来だが、この時期はパンデミックでロックダウンが行われていた時期であった。

　決算の内容は悪かったが、テスラは現在開発中の新車種を予定の2025年後半から前倒しで市場に投入すると発表。また今週22日まで7営業日連続で下げたこともあり、24日のNY株式市場ではテスラ株の大幅反発相場に。

　23日を144.68ドルで終えた同社の株は、開始直後に16％高の167.97ドルまで高騰。その後も高値圏での推移が続き、終値は12％高の162.13ドルだった。

　24日の株価は堅調だったが、テスラが今期減収減益だった事実はなくならない。そして世界の自動車メーカーがEV市場に参入してさらに各国のEVシフトも遅れている今、テスラは今後も厳しい経営が続くだろう。