イラン爆発で一時日経が1,300円安

19日午前中にイラン国内でイスラエルの攻撃によると思われる爆発があった。この爆発で中東の紛争の激化懸念が大きく高まり、東京株式市場では日経225平均が一時1,300円以上も暴落するなど金融市場に大きな影響が出た。

原油は急騰

　19日午前中に、イラン中部のイスファハンでイスラエルの攻撃によるものと思われる爆発があった。

　イランとイスラエル間は今月になって急激に緊張が高まっている。もともとこの両国は以前から対立関係があったものの、地理的にやや離れていることもあり直接戦闘が行われたことはなかった。

　しかし今月1日にイスラエルがシリアにあるイラン大使館を攻撃し、死者が約10名出た事件で直接戦闘の懸念が高まった。そして先週末の14日未明には、イランがイスラエルに対してミサイルなど300以上の兵器を投入する大規模報復攻撃を行った。

　そして19日未明になって、イラン中部のイスファハンで爆発音が3回聞こえた。後で発表されたところでは、これはイスラエルの無人機3機による攻撃をイラン軍が撃墜したことによる爆発であった。イスファハン近くにはイランの核施設があるが、核施設も含めてイラン側に目立った被害はなかった。

　被害はなかったとはいえ、爆発があったと報道されると中東情勢の悪化懸念が高まり19日は金融市場が大きく動揺した。東京株式市場では日経225平均が355円安の37,724円からスタートしたが、イランにおける爆発の報道を受けて前場に暴落。2月9日以来約2ヶ月ぶりに37,000円を割り、一時は前日比1,300円以上安い36,733円をつけた。

　だがイラン側に目立った被害がないとの情報が伝わったことで後場になると反発し、終値は1,011円安の37,068円。37,000円を回復したものの、4桁下落は2021年2月26日以来約3年ぶりとなる。

　他の金融市場を見ると、NY原油はイランにおける爆発の報道前は82ドル付近で推移していたが、報道を受けて午前11時半頃までに85.5ドルまで上昇した。だが被害がほぼなかったとの報道からその後は下げに転じ、夕方頃には爆発前の水準まで戻ってきた。

　仮想通貨市場もイラン爆発を受けて動揺。ビットコインは19日早朝には980万円台で推移していたものの、爆発後午前11時過ぎまでに70万円下落して910万円台をつけた。その後は他の金融市場と同様、被害軽微の報道を受けて反発し夜には一時1,000万円を回復した。

　19日はイランとイスラエルの緊張が高まり中東情勢の悪化懸念を受けて、株式や仮想通貨市場が大きく下落した。だが問題は中東情勢だけではなく、株式市場があまりに高い水準になっている点にもある。非常に高い水準にあるので、何かきっかけがあれば19日のように大きく下落するリスクは常に存在しているのではないか。