関税の大統領令修正期待でTOPIXが初の3,000超え

7日から米国による関税が発動されて懸念が高まっていたところ、8日朝になって関税を定めた大統領令は「修正される可能性がある」と発表された。この情報で安心感が広がったため8日の東証は暴騰相場となり、TOPIXは史上初めて3,000をつけた。

昨年35年ぶりに高値を更新したばかり

　1月にトランプ大統領が就任して以来、日本をはじめ世界がその政策に振り回されている。4月には世界各国に対する相互関税を発表し、その衝撃的な内容のために直後に株式市場が大暴落したこともあった。

　そのため関税の一部を90日間停止し、その間に各国と交渉に入った。日本も赤沢大臣を担当者として交渉を続けた末に、7月23日に日米間で合意に達したと発表された。

　しかしその後、8月7日の関税発動直前になった問題が噴出した。合意した内容は文書で残っておらず、そして合意内容に日米で認識の違いがあった。例えば自動車について、日本側はアメリカに輸出する自動車に15％の関税がかけられるとの認識だったが、アメリカの官報では27.5％とされていた。

　そのため今後の自動車業界などへの影響懸念が高まった。しかし日本時間の8日朝方に訪米中だった赤沢大臣が米高官との会談を終えて会見を行い、その中で「（関税に関する）大統領令を修正するよう申し入れた。払い過ぎた関税は7日まで遡って払い戻される」と発言した。

　これによって関税が日本に有利な税率に修正されるとの期待が高まり、それがこの日の東京株式市場に伝わって全面高相場となった。

　前日を41,059円で終えていた日経225平均だが、関税修正の可能性の報道を受けて8日は224円高の41,283円で寄り付き。その後多くの個別銘柄が寄り付くにつれて日経225平均もどんどん上昇し、前場中に42,000円に接近した。

　後場になると日米合意が発表された後の7月24日以来となる42,000円を超え、一時974円高の42,033円をつけた。だがそこを天井にその後は緩やかな下げが続き、終値は761円高の41,820円だった。

　また日経225平均と並んで日本を代表するもう1つの株価指数であるTOPIXは、8日に史上初めて3,000を超えた。

　TOPIXも日経225平均と同様、かつてのバブル時代に2,884の最高値をつけた後、長い間最高値更新がなかった。しかし昨年の株高によってついに35年ぶりに最高値を更新。今週7日の終値は2,987.92だった。

　そして始まった8日の東証では、関税修正の可能性を受けて寄り付きから3,001.09と史上初めて3,000を突破。場中には一時3,038.84をつけた末に3,024.21で終了し、場中・終値ともに史上最高値を更新した。

　大統領令の修正についてはまだ赤沢担当相が可能性について述べたのみで、修正あり・なし今後どちらにも傾く可能性がある。これからしばらくは貿易交渉の展開次第で株式市場が大きく動く日々が続くだろう。