週明けに突如広がったリスク回避の動き

週明け19日のNY株式市場では、序盤にダウが早くも800ドル以上下落。さらにこの日には米ドル、原油、仮想通貨と多くのリスク資産が下落しており、リスク回避の動きが広がっている。リスク回避拡大の理由は、世界各国で感染が再拡大しつつあることだと見られている。

米ドルや原油も下げる

　ワクチン接種の進展によって世界各国で経済正常化が進行し、特にワクチン接種が早かったアメリカではかなり規制の解除が進められてきた。

　経済正常化期待を受けてNY株式市場は今年になってからも上昇が続いてきた。ダウ工業平均は7月になってまた史上最高値を更新。2月以降はしばらくの間ほぼ最高値更新がなかった（4月に一度だけごくわずかに更新）NASDAQ総合指数も、6月後半以降はまた連日のように最高値を更新した。

　6月後半から7月にかけて上昇が続いていた間は、「今年中にダウは40,000ドルか?!」などと将来のさらなる上昇を予想する論調もあった。だが19日になって、NY株式市場は突然暴落に転じた。

　予兆がなかったわけではなく、19日日中の東京株式市場ではすでに日経225平均が350円安と大きく下げて終了。またその後NY株式市場開始前のダウ先物はかなり下げていた。

　そして午後10時半から始まったNY株式市場では、序盤からダウが一時800ドル以上も下落する暴落相場となった。しかし19日は株式市場だけではなく、他の多くのリスク資産が下落するリスク回避の1日だった。

　米ドル/円は朝方には110円付近だったが、特に夜になって大きく下げ午後11時頃には109円に接近。この水準は5月末以来約50日ぶりの円高・米ドル安水準となる。

　先物市場では原油が大幅安。朝方には71ドルだったNY原油は日中には緩やかに下げ、夕方以降には下げが加速。夜には6月上旬以来の67ドルをつけた。ただし原油に関してはリスク回避の流れだけではなく、週末に産油国が増産で合意したという売り材料がもともと出ていた。

　仮想通貨市場も下落が目立っている。ビットコインは19日朝方には350万円だったが、夕方以降に下落し夜には330万円に。イーサリアムも同様に夕方以降に大きく下げ、1ヶ月ぶりに20万円を割った。

　このように多くのリスク資産が下落しているが、理由としてはデルタ株によって世界の感染数がまた増えているためと見られる。19日のこの動きは、昨年2～3月のような大暴落の始まりとなる可能性もある。あるいは昨年2～3月のようにダウが1ヶ月で10,000ドルも下落するほど極端でなくても、一定の調整の下げとなる可能性は十分ある。

　暴落になったとしたら、各国中銀はまた緩和で株安を止めようとするだろうか？多くの中銀は現在でもかなり緩和を行っておりこれ以上の緩和は難しい。また現在では各国でインフレ懸念が高まっている。このような難しい状況の下、各国中銀はどのように対処していくのかその真価が問われる。