途上国ではまだ根強い仮想通貨の需要

2017年後半の世界的ブームが過ぎ去り、2018年以降仮想通貨は下火になったように見える。しかし仮想通貨自体はまだ世界から消えておらず、特に発展途上国では仮想通貨への需要が根強く残っている。

法定通貨が不安定な国も

2010年頃から少しずつ普及してきた仮想通貨だが、2017年後半には世界的な大ブームになり、ビットコインは一時230万円まで高騰。当時は連日のようにマスコミが仮想通貨を取り上げ、「仮想通貨元年」という言葉まで生まれた。

しかしブームはいつまでも続かず、各仮想通貨の価格は2017年12月～18年1月にピークをつけ、それ以降は下落。価格が下落に転じると人々は仮想通貨への興味を失い、マスコミに取り上げられることも激減していった。

実際に日本では2018年以降仮想通貨は低迷しており、取引所の出来高は減少。仮想通貨の関連ワードが検索されることも減ってきている。また企業も仮想通貨関連の事業から撤退したり、赤字となったりしているところが多い。

とはいえ仮想通貨は今でも世界中で取引されている。そして発展途上国では、日本のような先進国とは別の仮想通貨需要が存在していて、2018年以降も仮想通貨の取引量が拡大しているところがある。

途上国にとっての仮想通貨は、自国通貨に代わる代替通貨としての需要がある。途上国の中には自国通貨が不安定で、インフレが激しく通貨価値がすぐに下落する国がある。そういった国の人々にとって自国通貨は信用できないため、何か他の価値物を探す必要が常に存在していた。

これまで自国通貨以外に信用できるものは米ドルなど大国の通貨だったが、仮想通貨が登場してからは仮想通貨が代替通貨として途上国の人々に好まれるようになってきた。そのことを示すデータはいくつもある。

例えば面白いデータにトルコの仮想通貨取引量がある。トルコは昨年8月に通貨・リラが暴落したことは記憶に新しい。そしてここ数年仮想通貨の取引量が増えてきている点は他の多くの国と同じであるが、昨年8月前後に急増し、数ヶ月後には急増前の水準まで戻ってきた。

言うまでもないが、これはトルコリラが暴落したために多くのトルコ人が代替通貨として仮想通貨を買いに走った結果だと思われる。また経済危機が深化するベネズエラでもここ1～2年は仮想通貨の取引量が増えるなど、通貨が不安定な国の人々は自国通貨の代わりに仮想通貨を持ちたがる傾向がある。

そういった意味で途上国を中心に仮想通貨の需要は根強く存在しており、2017年後半のブームが過ぎても仮想通貨という存在は世界で多くの人々に求められているのが現実のようだ。