追加利上げが必至になってきたトルコ

トルコでインフレと通貨・リラの下落が顕著になってきた。トルコは昨年11月に約3年ぶりに利上げを行ったが、この状況だと今後の追加利上げも必至と予想される。

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リラが2005年以来の最安値

トルコは以前からインフレ率が高く、金融政策は常にインフレとの戦いだった。20世紀には長期間年率50～100％程度の高インフレに悩まされ、2000年頃には日用品を買う時に100万～億単位のリラを払うのが当たり前になっていた。

しかし2005年に、それまでの100万リラを新1リラとする100万分の1のデノミを実施。これが効果を発揮して、その後しばらくはインフレと通貨下落が落ち着いていたように見える。それでもトルコは、完全にはインフレから逃れることはできなかった。今月になって発表された12月のインフレ率が、前年同月比＋8.53％と高い数字になっていたのだ。

為替市場における通貨・リラの下落も加速している。リラのレートは2008年頃は1米ドル＝1.2リラ程度だったのだが、2014年頃から米景気の好調さと米利上げ見通しなどから米ドル高・リラ安が加速。去年にはついに3リラを突破し、最近では3.6リラと2008年当時の3分の1まで安くなった。

ただトルコも手をこまねいて見ていたわけではない。トルコの政策金利は2013年半ばには4.5％だったのだが、2014年初頭に突然5.5％もの大利上げを行って10％にした。これはアメリカが2013年秋にQE3の縮小を開始し、今後金融引き締めに向かう姿勢が示されたため。それによって米ドルの上昇が予期されたので、トルコは先手を打って利上げをして、リラの下落を食い止めようとしたと見られる。

ただその政策だけでは、リラ安は止められなかった。トルコは10％に利上げをしたあとは何度か細かい利下げを行い、去年半ばには7.5％になっていた。しかしリラの下落が止まらないので、11月には3年ぶりに利上げをして8％にした。

最近のインフレ率の高さとリラの下落傾向から考えると、今後トルコが何度か追加利上げをするのは必至になってきたように見える。

トルコの2015年の成長率は4％で、日本よりは高いが新興経済国としてはそれほど高くない。トルコとしては金利を下げて景気を刺激したいところかもしれないが、現在の高インフレや通貨下落に対して何らかの措置を取らないわけにはいかない。

トルコは経済的な問題だけではなく、昨年7月のクーデター未遂以来国内での反対派への弾圧が強まっているという政治的な問題も抱えている。そしてそのために、EUとの関係が悪化している。ただトルコは中東地域から欧州への難民の流入を食い止めるという意味でも重要な国であり、その情勢に注目する意義は大きい。