豪中銀の利上げ幅は予想を下回る

4日の午後0時半に豪中銀が政策金利を発表し、予想の0.5％利上げに対しサプライズで0.25％利上げと予想より小さい利上げ幅だった。この小幅利上げを受け、一部メディアでは豪だけではなく各国の利上げが減速に向かうとの論調が出てきている。

4ヶ月連続0.5％の末に減速

　4日の午後0時半にオーストラリアが政策金利を発表。今回は0.5％の利上げ予想が大半だったが、サプライズで0.25％の利上げに留まり、政策金利は2.6％とされた。同時に発表された声明では「インフレ目標達成のために今後も必要な措置を取る」などの文言が入っていた。

　サプライズの小幅利上げを受け、発表後に豪ドルが下落。発表前は1豪ドル＝94円30銭だった豪ドル/円は、発表後に93円台半ばまで豪ドル安になった。しかしその後午後には94円60銭まで上昇する場面もあった。

　豪中銀は1月を除いて政策金利を毎月発表する。今年最初の利上げは5月と他国より少し遅く、この時は0.25％の利上げ幅だった。その後は6～9月にかけて4ヶ月連続で0.5％の利上げを発表。そして10月4日も5回目の0.5％利上げが予想されていたのだが、その予想通りの発表ではなかった。

　この小幅利上げを受け、一部メディアでは今後豪だけではなく各国の利上げが減速に向かうのではないかという論調が出てきている。

　確かに最近はインフレ率が頭打ちになってきている国がある。アメリカはここ2～3ヶ月インフレ率は以前ほど伸びなくなってきた。今週3日に発表されたトルコの9月インフレ率は、予想の前年同月比＋83.5％に対し発表は＋83.45％と予想を下回った。前月が＋80.21％だったので、伸びは3％程度とかなり鈍化している。

　トルコはもともと今年になっても利上げをしていないが、アメリカのようにインフレ率が頭打ちになってきている国は今後利上げが減速に向かってもおかしくはない。

　しかしその一方、ユーロ圏は先週発表された9月のインフレ率がついに10％の2桁になり、前月の9.1％より0.9％も上昇している。ユーロ圏はまだまだ利上げを緩められる状況にはない。

　もともとここ数ヶ月、何か材料が出る度に「利上げは減速へ」「今後利上げは加速か」といろいろな論調が出てきていた。7月頃にアメリカや他国の景気後退懸念が高まると、「今後利上げは減速に向かう」という論調が増えたし、8月26日のジャクソンホール会議でFRBのパウエル議長が利上げ継続の意思を示すと「利上げは長期化へ」という論調が増えた。

　4日の豪中銀による小幅利上げも、今後の利上げ減速を示す1つの材料に過ぎない。これからインフレ率が高止まりするなどまた利上げ継続が必要になる材料が出るかもしれないので、4日の0.25％利上げだけで判断するのはまだ早い。