終わりが見えない中国のデフレ

先週末に中国の4月CPIとPPIが発表されどちらもマイナスであり、CPIは3ヶ月連続、PPIにいたっては2022年から31ヶ月連続のマイナスとなった。中国は不動産バブルが弾けた影響でデフレが長期化しており、終わりが見えない。

人口減もデフレ要因か

　先週末の10日土曜朝に、中国の4月消費者物価指数（CPI）と生産者物価指数（PPI）が発表された。通常経済指標は平日に発表されるものだが、中国の今回の指標は珍しく週末の発表となった。

　そして発表された内容は、CPIの方が予想通りの前年同月比－0.1％で、2月から数えて3ヶ月連続のマイナスだった。またPPIの方は予想通りの前年同月比－2.7％で、こちらは2022年10月から31ヶ月連続のマイナスを更新中となっている。

　一般的なインフレ率の指標として使われるCPIの方は連続こそ直近3ヶ月だが、2023年頃からマイナスの月が増えている。これは中国経済がすでにデフレに突入していることの証で、中国政府や中銀はこれまで何度も金融緩和や景気刺激策を打ち出してきたがなかなかデフレから抜け出せない。

　中国経済がデフレになっている大きな理由の1つは、これまで成長をけん引してきた不動産市場が冷え込んでいることにある。中国は1990年代から最近まで5～10％の高成長を続けてきたが、その原動力となったのが不動産開発であった。

　中国は国土が広大であるため開発できる土地はいくらでもあり、全土で多数の開発プロジェクトが行われてきた。そして地価も上昇してきたものの、地価が下がると景気が冷え込むため地価が上がるに任せていた。

中国は日本の1990年前後のバブル崩壊を知っていたため、地価が急激に下落すると長期デフレに突入するリスクがあることを知っていた。そのため地価の下落を避けてきたのだが、最近になって不動産高が限界にきていた。

中国も2010年代から少子化が深刻化しており、住宅価格の高騰によって中低所得層の若い夫婦が子どもを持てないことがその一因と見られるようになってきた。

　少子化の解消を優先させる必要が出てきたことで、政府は2020年代になってそれ以上の地価の高騰を容認できず、地価を下げる政策を実施してきた。そして地価が下げに転じたことでそれまで順調に成長してきた不動産企業の多くが経営難に陥り、中国経済全体も冷え込むようになった。

　そのような背景から2022～23年頃から中国ではデフレが続いている。そして不動産不況だけではなく少子高齢化と人口減の進展もデフレ要因となり、デフレは今後長期化する恐れが出てきている。

　いわば日本が1990年代以降に辿った道を、中国も突入しようとしている。中国は日本のバブル崩壊を研究していたとはいえ地価の上昇が限界に達してそれ以上容認できなくなり、最近になってついに地価は下げに転じデフレに入った。このような道は多くの国が辿る道になるのだろうか。