米年金の仮想通貨投資承認で週末に市場が上昇

米の確定拠出年金・401(k)の資金を仮想通貨市場で運用することを認めた大統領令に、トランプ大統領が7日に署名した。この署名を受けて週末はビットコインやイーサリアムといった主要仮想通貨が上昇し、イーサリアムは日本円建てで史上最高値を更新した。

今後は資金流入が期待できる

　今年1月に就任したアメリカのトランプ大統領は、仮想通貨に好意的な姿勢をアピールしてきた。そして就任後にはそのアピール通りに仮想通貨市場・業界にとってプラスとなる政策を次々実施。

　特に7月に成立したジーニアス法案を含む3つの法案は、アメリカにとって歴史的とも言える初の包括的な仮想通貨規制法案であった。この法案成立は今後の仮想通貨業界にとって強い追い風になると見られている。

　そして先週7日に、トランプ大統領がまた仮想通貨業界の発展を後押しする新たな動きを見せた。アメリカの確定拠出年金である401(k)の運用先に、仮想通貨を認める大統領令に署名したのだ。

　確定拠出年金とは毎月一定額を拠出し、その後は市場で運用して老後資金を形成していくタイプの年金。日本にはiDeCo（イデコ）があり、これは個人型確定拠出年金と言われるもの。iDeCo以外にも企業型の確定拠出年金もある。

　これまでアメリカの401(k)の運用先として仮想通貨は認められていなかった。しかし今回署名した大統領令によって、仮想通貨だけではなくプライベート・エクイティ（未公開株）、不動産などにも投資をすることが可能になった。

　これによって今後は401(k)から膨大な資金が仮想通貨市場に流入してくることが期待できる。資金流入期待から、8日金曜から週末にかけて主要仮想通貨が上昇した。ビットコイン（BTC）は7日木曜夜時点では1,720万円付近にあったが、週末にかけて数十万円上昇。

　イーサリアム（ETH）は日本時間の7日日中にはまだ55万円だったが、大統領令成立見通しなどからこの日の午後から上昇を開始。そして署名が終わった後の8日から週末9・10日にかけて上昇が続き、10日午前には64万円をつけた。

　イーサリアムの日本円でのこれまでの最高値は昨年12月につけた63万3000円だったが、それを8ヶ月ぶりに更新した。一方米ドル建てでは10日の最高値でもまだ4,300ドルで、2021年につけた4,660ドルの史上最高値にはまだ少し幅がある。だが史上最高値更新も見えてきたのは確かだ。

　アメリカの年金である401(k)からの投資が許可されたとなれば、今後は膨大な資金が仮想通貨を買いに来る可能性が高い。仮想通貨はこれから新たな上昇局面に入るかもしれない。