米国債の2年物と10年物利回りがついに逆転

今年になってから各国で景気後退の兆候が増えてきている。そして今週14日になって、米国債の2年物利回りが10年物よりも高くなるという「逆イールド」現象が発生。このため景気後退懸念が一気に高まり、NY株式市場は大きく下落している。

同じ逆イールドは12年ぶり

景気後退を示すサインにはいろいろあり、失業率の上昇やGDP成長率の低下は最もよく使われるサインとなる。また日銀短観に含まれる企業の業況判断指数（DI）なども、景気の指標としてよく使われる。

そしてこれらの経済指標に加えて、各国の国債利回りによって景気後退の兆候を知る方法がある。それは長期・短期などいろいろある国債の利回りを比べることだ。例としてある国の国債に1年、3年、5年、10年と4種類の期間があるとする。

国債には利回りがあり、景気拡大期には通常1年物が0.5％、3年物が1％、5年物が1.5％、10年物が2％と、長期になるにしたがって利回りが高くなる。これは長期ほどリスクが高くなるので、リスクの高い国債は利回りが高くないと売れないためだ。

しかし時には3年物が1.5％、5年物が1％など短期国債の利回りの方が高くなることがある。これを「逆イールド」現象という。逆イールド現象が起こるのは、今後は中銀が政策金利を引き下げるなどの理由で、他の金利や国債利回りも下がることが予想されるためだ。つまり今後景気後退が起こると予想されるサインになる。

米国債の利回りを見ると、すでに昨年から3年物の方が5年物よりも利回りが高くなるなど逆イールド現象が起こっていた。しかし今週14日になって、今度は2年物が10年物より利回りが高くなった。

2年物と10年物ならかなり償還期間に違いがあるのだが、その2つの利回りが逆転した。この逆イールド現象は、2007年6月以来約12年ぶりだという。2007年6月はまだ世界的な好景気の最中だったが、その約1～2ヶ月後にはアメリカでサブプライム問題が表面化。これがこの時の好景気の終わりの始まりだった。

今週14日になって米国債の2年物と10年物で逆イールド現象になったのは、今後アメリカも景気後退に陥る可能性が高まったことを示している。景気後退懸念が高まったので、14日のNY株式市場は暴落している。

しかしすでに日本や欧州、さらに新興国も景気後退の兆候を示しており、アメリカだけが比較的持ちこたえていた。ここでアメリカ経済が崩れると、世界的な景気後退に突入するのは避けられない。だがアメリカは2009年6月から景気拡大期が続いており、すでに10年を超えて史上最長になっている。景気拡大はいつまでも続かず、近いうちに後退期に突入するのは必然と言える。そうなった時、世界経済は大変な時代を迎えるだろう。