株価が落ち着いたら日銀のETF買いはペースダウン

2月下旬から3月下旬にかけ、世界的な株価の暴落が続いた。株安を止めるために日銀はETF購入の年間12兆円への増額を発表し、実際の買いペースも大きく引き上げた。しかし4月になって株価が落ち着くと、日銀はETF購入のペースを落としている。

一時は1日に2,000億円も

今年1月からCOVID-19（新型コロナウイルス）が世界で広まり始め、2月下旬になってウイルスの拡散とそのための世界経済の大幅な落ち込みを懸念し、株式市場が暴落した。暴落は4週間ほど続き、3月下旬になるとようやく落ち着いてきた。

暴落の期間中各国中銀は次々と利下げを初めとする緩和措置を発表。アメリカ、イギリス、豪、NZなど主要な通貨の国はほとんどがゼロ金利になった。そして日銀は3月16日に追加緩和措置を発表し、これまで年間6兆円だったETFの購入を「当面の間」12兆円に増やすと述べた。

実際の購入額も3月になって激増し、購入額引き上げを発表する前の3月1日には、2月以前約700億円だった1日の通常ETF購入額を約1,000億円まで増額。3月17日にはさらに約1,200億円まで引き上げ、次に購入した19日にはついに約2,000億円まで激増させた。2月以前と比べると1日の購入額が約3倍にもなった。

約2,000億円の購入は19、23、26、30日と4回行われた。これで3月は合計で1兆5000億円以上のETFを購入。3月のペースが続くと12ヶ月の購入額は18兆円を超える。市場は日銀のハイペースなETF購入がいつまで続くのかを注視していた。

しかし3月下旬以降は株価が落ち着いてきたために、3月下旬のようなハイペースなETF買いは意外にも早く終わる。4月1日にも日銀はETFを購入したが、約1,200億円と1日の購入額が減額されていた。その後は2日と9日に同様にETF買いが行われ、どちらも1,200億円だった。

また日銀はREIT（不動産投資信託）も購入しており、2月までは1日の購入額は12億円となっていた。それが3月に入って15億、20億、40億と段階的に増額されていたが、4月になると20億円に減額された。

4月になって減額した事実は、3月下旬の購入があまりにもハイペースだったことを示している。3月後半の2週間だけでETFの購入額は約1兆円にもなっており、このペースが年間続けば24兆円も購入する計算になる。

とはいえ4月になってペースダウンしても、まだまだ購入額は多い。9日までにすでに3,600億円以上購入しており、このペースだと1ヶ月に1兆円を超える。月あたり1兆円超のペースがずっと続けば、年間では3月16日に発表した12兆円の上限を超える計算になる。

もう株式市場は落ち着いてきているので、3月16日の発表以前の年間6兆円ペースに戻してもおかしくはない。実際に先月の発表では「当面の間」12兆円ペースに引き上げ、基本はあくまで6兆円ということだった。

だが株価下落を恐れている日銀は、このままETFの購入ペースを下げないことも考えられる。株価に関わらず日本経済は極度に悪化してきており、こうなると一体何のためのETF爆買いなのかわからなくなってくる。