東証が取引時間の延長を検討へ

著者鳥羽賢

2021年5月19日

現在午前9～11時半、午後0時半～3時と決められている取引時間について、東証が延長を検討すると報じられた。現在は前場後場合わせて5時間だがこの時間は他国と比べて短く、世界基準に合わせるために延長を考えているという。

夜間市場の新設も!?

　東証が18日になって、今後取引時間を延長することを検討すると報じられた。現在の東証は前場が午前9～11時半、後場が午後0時半～3時の合計5時間となっている。

　しかし具体的に何時間延長されるかはまだ発表されていない。東証の取引時間は以前は前場が午前9時から11時までの2時間だった時代があり、後場の2時間半と合わせて1日あたり4時間半だった。それが2011年11月に前場が30分延長されて現在のようになった。

　海外を見るとNY証券取引所は午前9時半から午後4時までで、昼休みはなく6時間半ずっと取引が行われる。それら海外の取引所に比べると東証の取引時間はまだ短い。

　具体的な延長時間はまだ発表されていないものの、いくつか予想ができる。予想される延長案の1つは、昼休みを縮小あるいは廃止するというもの。昼休みが完全に廃止されれば、東証の取引時間は午前9時から午後3時までの6時間になる。

　または前場の開始時刻を早めたり、あるいは後場の終了時刻を遅くしたりする案もありえる。例えば後場を午後4時までにするという方法。

　あるいは夕方や夜に売買が行われるようになる可能性もある。現在株式市場は日中しか取引が行われていないが、日経225先物などの指数先物や商品先物はすでに夕方以降取引が行われている。

　現在はPTS（私設取引システム）として各証券会社などが独自に株の夜間取引の場を提供しているが、公設の夜間取引はまだない。そこで東証が夜間にも株が売買できる市場を新設するかもしれない。

　とはいえ株の取引時間が拡大すると、それだけ証券会社にとっては売買システムを稼働したり顧客対応をする時間が延びる。そのため証券業界から反対の声が出ることも予想されている。

　しかしFXは基本24時間取引であり、商品先物も夜間取引を含めると長時間。さらに最近台頭した仮想通貨の市場は24時間というだけではなく、土日も含め365日取引が行われる。

　金融市場の多くは長時間あるいは24時間取引が行われる現状、証券業界だけ短時間で済ませようとしても難しいかもしれない。2011年の30分延長時は夜間取引に反対したと言われる証券業界だが、10年経った今回は受け入れることも考えられる。

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