日銀が追加利上げ見送りで円安進行

著者鳥羽賢

2025年5月1日

1日の正午頃に日銀が政策金利を発表し、予想通り追加利上げはなしで政策金利は0.5％のまま据え置かれた。植田総裁の会見で今後の利上げに慎重な姿勢も示されたことで、発表後は円安が進行し夜には一時1ドル＝145円をつけた。

為替は夜までに2円以上円安

　1日の正午頃に日銀が政策金利を発表した。今回は事前に一部で追加利上げを予想する声もあったものの、数日前に「日銀は1日に利上げを見送りへ」との報道がすでに流れ利上げの可能性は極めて低くなっていた。

　そして実際に発表された金利は、予想通り0.5％のまま据え置きだった。そして今回は3ヶ月に1度の「経済・物価情勢の展望（展望レポート）」が発表された。

　その内容によると、2024年度の成長率見通しは0.7％で1月時点の0.5％より上方修正されていた。しかし2025年度の成長率見通しはトランプ関税の影響懸念などから1月時点の1.1％から0.5％まで大幅下方修正。2026年度は0.7％（1月時点は1.0％）で、また今回初めて見通しが示された2027年度は1.0％だった。

　インフレ率見通しは、2024年度は1月時点と同じ2.7％。2025年度は1月時点の2.4％から2.2％に下方修正、2026年度は1月時点の2.0％から1.7％に下方修正、そして今回初の2027年度の見通しは1.9％だった。

　発表された政策金利は予想通りで、また展望レポートの中に明確に追加利上げを否定する内容はなかった。しかし2025・26年度の成長率やインフレ率見通しが下方修正されたことや、同レポート中で今後の成長率・インフレ率について「下振れリスクが高い」と述べられていたことが市場の注目材料となった。

　発表前は1ドル＝143円だった米ドル/円だが、この展望レポートの内容から今後の利上げペースはこれまでの想定より遅くなると市場が判断。発表後は円安が進行した。

　さらに午後3時半から行われた植田総裁の会見では、「物価が伸び悩んでいる時に無理に利上げすることは考えていない」と利上げに慎重な発言があった。この発言がまた円売り材料となり、円安は会見後も夕方から夜にかけて継続。夜には4月10日以来約3週間ぶりとなる145円台をつけた。

　日銀は今年1月に6ヶ月ぶりとなる利上げを発表して政策金利を0.5％としたことで、当時は「これからも6ヶ月に1回程度のペースで利上げを行っていくのではないか」との見方が多かった。

　今回の次の政策金利発表は6月17日、その次は7月31日となる。6ヶ月に1回との見通し通りなら遅くとも7月31日までに次の利上げが発表されることになるが、今回の発表内容を見るとそれも疑わしくなってきた。状況次第では日銀は当面追加利上げはしないかもしれない。

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