日本の長期金利が2008年以来の水準まで上昇

日銀の利上げや政府の財政支出拡大などの見通しから日本の長期金利は上昇が続いており、21日には2008年以来17年ぶりの高水準となる1.61％をつけた。

4月には急落も

　最初に簡単に説明しておくと、長期金利とは10年物国債の利回りのこと。国債には株式市場と同様リアルタイムに売買される国債市場がある。そして国債市場における国債の価格と利回りは反対に動く性質がある。

　国債が買われて価格が上がると利回りは下がり、逆に売られて価格が下がると利回りは上がる。2年物、5年物などの国債利回りは短期金利と言われ、10年物国債の利回りが長期金利と言われる。

　基本的に長期金利は国債市場の原理によって動くものだが、日本の場合は2016年に日銀が異例の長期金利の誘導目標レンジ設定政策、いわゆるイールドカーブ・コントロール政策を発表。長期金利を0％±0.1％のレンジ内に抑える政策を実施した。

　その後数年間は長期金利は狙い通り0％付近で安定していたものの、2021年頃からは世界的なインフレと長期金利高が進行してきたことで日本の長期金利にも上昇圧力が高まった。

　それ以上長期金利の上昇を止められないと判断した日銀は何度かレンジの上限を引き上げた末に、2024年3月に政策を完全に終了とした。

　終了当時の長期金利は0.8％だったものの、その後は日銀の利上げや政府の財政拡大見通し、さらに世界的な金利高傾向によって上昇が継続。今年3月には1.5％を超えたが翌4月にトランプ関税が発表されると株式市場とともに長期金利も大きく下落したため、しばらくの間次の節目である1.6％には到達しなかった。

　しかし今週になって長期金利はまた一段と上昇し、2008年10月以来17年ぶりの水準となる1.61％をつけた。

　長期金利は住宅ローンの固定金利を決める基準となる。実際に最近の長期金利高によって固定金利は上がり続けている。

　35年固定金利の住宅ローン・フラット35の団信加入21～35年ローン金利は毎月決められるが、2023年3月と11月には1.96％と直近の最高値まで引き上げられた。また今年の3～4月には1.94％まで引き上げられている。8月は1.87％だったが、長期金利高のために9月にはまた1.9％を超えると見られている。今後2023年の高値である1.96％超えも十分考えられる。

　最近ではアメリカのベッセント財務長官も「日本は利上げをするべき」との発言を行ったことがあった。それだけ日銀に対する利上げ圧力は高まっており、同時に政府に対する減税や財政支出拡大圧力も高まりつつある。

　この状況では今後も長期金利の上昇は予想され、フラット35の金利が2％を超えることもあるかもしれない。