日本で仮想通貨ETFの実現は不可能に

金融庁が27日に「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正案を公表し、本日付けで適用すると発表した。この改正案は仮想通貨の投資信託が日本では組成できないと規定していたのだが、この案に対するパブリックコメントへの返答で、仮想通貨ETFも組成・販売ができないことが明示されていた。

投資信託とともにETFも

金融庁は9月末に「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正案を発表した。そこでは仮想通貨に投資する投資信託が、日本では組成・販売できないことが新しく記載されていた。

その内容によると、日本における「投資信託」とは「主として特定資産に対する投資として運用されることを目的とする」ものと定義されていた。ここで言う「特定資産」とは、株式や債券のこと。そのため仮想通貨は特定資産に含まれない「非特定資産」と定義されている。

そして「非特定資産や非特定資産を投資対象とするファンド出資持分等、実質的に非特定資産と同等の性格を有する特定資産が投資目的となっているような商品」「本来の投資目的である特定資産のリスクに比べて、価格変動や流動性等のリスクが高い非特定資産等に投資するような商品」の性質を持つ投資信託については、組成・販売が「適切ではない」と明記されていた。

この改正案で、日本で仮想通貨に投資する投資信託が出てくる可能性はなくなったことになる。ただ残る問題はETFだ。ETFは「上場投資信託」の略なので、あくまで投資信託の一種である。しかし株のようにリアルタイムで売買できる点が、一般的な投資信託とは違う。

仮想通貨の投資信託がダメでもETFはまだわからないと思っていた者もいたかもしれないが、10月に募集したパブリックコメントへの返答が27日に金融庁によって公表された。その内容では「暗号資産ETFについては、ETF自体が投資信託等である場合、本監督指針改正を踏まえると、国内で組成・販売することはできなくなるものと考えられます」と述べられていた。

つまり日本で仮想通貨のETFが組成・販売されることはなくなった。これが金融庁が出した結論なのだろう。アメリカでは何年も前から仮想通貨ETFの申請が何度も行われてきたが、当局は全て却下してきた。アメリカですらまだ認められていない仮想通貨ETFは、日本では申請以前にすでに金融庁がNGを出した形になった。

仮想通貨はレートの変動が激しく価格形成にも不透明な部分が多いので、投資信託やETFに組み入れるのは難しいということだろう。