参院選後に円安になったら日銀は止められるか

今週末の日曜には参院選の投票日があり、今回は与党・自公が大幅に議席を減らすと予想されている。野党は減税策を掲げているところが多く、実際に与党が過半数割れすると円安が進行すると予想されるが、そうなると日銀はまた対処を迫られることになる。

日銀はこれまで7回の介入

　今週末の20日に参院選の投票日がある。2022年頃から円安とインフレが進行しているものの与党・自公は有効な対策を立てられず、国民の不満は高まっている。そのため今回は与党が大幅に議席を減らし、非改選の半数を合わせても過半数を失うと予想されている。

　各野党は物価高に苦しむ国民を支援するために、減税や給付金などの政策を掲げている。しかし現在の日本の状況で減税をすれば、財政赤字の拡大懸念が高まり、円と日本国債が下落する恐れがある。

　今週には選挙後の国債売り懸念のため、20年物国債の利回りが2000年以来25年ぶりの高水準になった。

　そして円も参院選後に下落することが懸念されている。偶然にも7月6日に発表されたアメリカの6月雇用統計は予想を上回り、さらに15日に発表された米6月消費者物価指数も予想を上回った。

　トランプ大統領は就任以来常にFRBに対して利下げをするよう圧力をかけてきたものの、パウエル議長はインフレや関税の経済に対する影響を懸念して今年に入ってから一度も利下げをしていない。

　一時は7月にまた利下げをするのではないかとの観測も高まったが、最近の雇用統計やインフレ率の指標、さらにこれからトランプ大統領の関税が発動される見通しを考えると利下げはできないだろう。

　そうなると参院選後に一段と円安が進む可能性がある。1ドル＝150円を最後につけたのは4月初頭だが、16日未明に149円をつけたため選挙後に150円を超えることは十分考えられる。

　その時日銀はどう対処するのか？日本は政府債務が多いことなどを理由に利上げが難しいため、日銀はこれまで2022年に3回、24年に4回で計7回の介入を行った。それでも根本的な円安の解決にならなかったので、最後の介入を行った直後の7月末についに利上げを実施。そして2025年1月にも追加利上げを行った。

　だが次の利上げへのハードルは高い。政府債務や株価の下落、景気後退のリスクに加え、現在ではトランプ大統領の関税政策による影響が不透明のため思い切った金融政策が難しい状況になった。

　利上げができないとなると介入しかないが、前回の介入ラインが160円超えだったので、次の介入もおそらく160円を超えるまではないであろう。150円を超えても日銀は思い切った対策を取れず、円安はその後しばらく続くことが考えられる。