仮想通貨事業発表で株価が67％も暴騰した企業

東証グロース上場のモブキャストはもとはゲーム事業を行っていたが、先週末に仮想通貨ソラナの購入事業を発表した。先週末の終値が45円と安い株価の企業だったため、発表直後の6日は67％も高いストップ高の75円まで暴騰した。

14億円の資金調達も発表

　トランプ政権が仮想通貨に好意的な政策を実行していることなどを背景に、2025年になって仮想通貨市場は堅調な動きが続いている。今週もビットコイン（BTC）の上昇は止まらず、7日未明には1,900万円に接近して最高値を更新した。

　仮想通貨の購入も世界的に行われ、米政府が仮想通貨の準備金制度を設立しただけではなく、世界各国の政府、自治体、そして企業が仮想通貨の購入を始めた。日本でもメタプラネット（銘柄コード：3350）など複数の企業が仮想通貨の購入事業を始めており、メタプラネットは今年前半に株価が暴騰して東証で最も話題の銘柄の1つとなった。

　そして先週の3日金曜になって、東証グロースに上場しているモブキャストホールディングス（銘柄コード：3664）が、仮想通貨ソラナ（SOL）の購入・保有事業の開始を発表した。

　ソラナは今年10月7日現在で仮想通貨の時価総額ランキング6位の通貨。これまで日本で仮想通貨購入事業を発表した企業はビットコインやイーサリアム（ETH）などの購入が多く、ソラナを購入すると発表した企業はモブキャストが初と言われる。

　モブキャストは2004年に設立された企業で、当初は主にゲーム事業を行っていた。2012年には当時の東証マザーズ上場に成功し、2022年4月の東証再編で現在のグロース市場に割り当てられた。

　今回のソラナ購入事業の目的として、モブキャストは「株主価値の最大化と上場維持基準の達成」「次なる収益エンジンを確立」「コア事業との将来的な連携可能性の追求」の3つを挙げていた。

　また他の仮想通貨ではなくソラナを選択した理由として「コア事業の未来を拓く、卓越した技術親和性」「株主価値の向上に寄与する、インカムゲインによる収益性」「新たな成長機会を捉える、市場での独自性と将来性」の3つを挙げていた。（以上出典：モブキャストIR）

　そして主にこの事業のために、新株予約権と無担保普通社債によって計14億円を調達する計画を同時に発表した。

　このソラナ事業開始を投資家は好感し、発表直後6日の東証でソラナ株は暴騰。先週を45円で終えた同社の株は、この日はストップ高の75円まで上昇して67％高となった。日本の株式市場では通常ストップ高・安は前日終値から20％程度離れた値であるが、終値が45円と安ければ上下30円になる。67％高という高い上昇率は、前営業日の終値が45円高だからこそ可能な大きな率であった。しかし翌7日には反落し、10.7％安の67円で終了した。

　メタプラネットもビットコイン全体の1％にあたる21万枚の購入計画を6月に発表し、その資金として大量の新株予約権を発行した。しかし引き受けたEVO FUNDが行使可能になるとすぐに大量行使を開始したため、その売りを警戒して6月末以降株価は下落している。

　今回のモブキャストの新株予約権発行もメタプラネットのようにならないといいのだが、それは現時点では予想できないので今後の展開を注視するしかない。