バーゼル委員会が銀行の仮想通貨投資を規制へ

国際的な銀行の行動指針を定めるバーゼル委員会が、10日に銀行が仮想通貨を購入するにあたって多額の安全資産を保有する義務を課す規制を提案した。この規制が実現すれば、銀行がビットコインに投資をすることは難しくなる。

リスクウエートを1250％に

　国際的な銀行の行動指針を定めるバーゼル委員会が、10日に銀行の仮想通貨購入に対する厳しい規制案を発表した。バーゼル委員会とは正式名をバーゼル銀行監督委員会と言い、主にG20の中銀と政府の金融監督機関関係者で構成される。

　主な仕事は国際的な銀行の行動指針を定めること。最近に制定された包括的な規制はバーゼルIIIであり、2010年に制定され2013年から実行されている。

　そのバーゼル委員会が、10日になって銀行が仮想通貨を保有するにあたっての規制案を発表した。その案によると、仮想通貨のリスクウエートを1250％とするという。

　リスクウエートとは聞きなれない言葉だが、単純に言うと仮想通貨を保有するにあたりその12.5倍に相当する資産を保有する必要がある。つまり1億円分の仮想通貨を保有するためには、12億5000万円分の資産を保有していることが求められる。

ここでリスクウエートを1250％に設定される仮想通貨とは価格が変動するタイプのものだけであり、価格が法定通貨に固定されたステーブルコインは含まれない。

　これはかなり厳しい規制になる。他の資産を見ても1250％という高いリスクウエートを課されている資産はあまりない。株式は現在は100％であるが、2022年から5年間をかけて段階的に引き上げ。最終的には2027年に250％にされる。また投機的な非上場株式の場合、同様に5年間をかけて引き上げ最終的には400％にされる。

　とはいえこのような措置は、銀行による無鉄砲な仮想通貨投資を抑制するために提案されたと思われる。仮想通貨は非常に値動きが激しく、短期間で大きな利益が出る可能性もあるが、逆に短期間で損失が膨らむ可能性もある。

　一般企業ならまだいいが、銀行が無謀な仮想通貨投資で損失を出すと金融不安につながる。そこで銀行の仮想通貨投資に対して国際的な規制をかけようというのが今回の提案だ。

　大きな影響が出る可能性は低いが、このような規制が今後の仮想通貨価格に影響してくることも考えられる。バーゼル規制は以前はBIS規制と呼ばれ、1988年に最初の規制が制定された。

　当時の日本はバブル全盛期で銀行が次々と不動産の売買に融資を行い、土地価格が高騰してバブルになった。しかしBIS規制のために銀行は無謀な不動産融資を行うことができなくなり、それがバブル崩壊の一因となった。

　現在仮想通貨に投資をしている銀行はそこまで多くないと思われるので、大きくはなくても仮想通貨の相場に何らかの影響が出てくることは考えられる。