バブル時代と現在の共通点・非共通点

2024年が明けてから株価が堅調に推移しており、日経225平均は34年ぶりに36,000円を突破。一時はかつて日本がバブルと言われた時代の天井・38,915円にあと2,000円まで迫った。当時と現在に共通する点と、逆に当時とは違う点などを比べてみる。

時価総額は当時の遥か上

　2024年が明けてから株価が非常に好調に推移している。とはいえ日本株の好調さは今年に始まったものではなく、2023年は1年間で日経225平均が7,370円も上昇して終了した。今年明け以来の株高は、昨年の勢いがそのまま続いているだけとも言える。

　日経225平均は1月に急上昇し、1月23日には36,984円をつけた。この水準は日本がかつてバブルと言われた1980年代後半の終盤、1989年の大納会でつけた38,915円の史上最高値まであと約2,000円と迫った。

　当時は1990年が明けたと同時にバブル崩壊が始まり、株式市場は1月から大きく崩れて2度と最高値である前年の終値を更新することはなかった。それ以来日経225平均は34年以上高値更新していない。

　しかし今、30余年を経てようやく高値更新の機会が来ている。当時と現在の共通点、あるいは逆に共通していない点はどのような部分があるのか？

　まず日経225平均自体は当時の高値に近い水準まで上がってきている点は共通しているが、その一方で時価総額ではとうに超えている。1989年末当時の東証全体の時価総額は約600兆円だった。この最高値は2017年に日経225平均が24,000円まで上昇した時にすでに更新し、現在の時価総額は約900兆円とすでに1.5倍にもなっている。

　また株式市場の上昇に伴い個別株の時価総額も増えている点も当時と共通だ。トヨタ自動車（銘柄コード：7203）は1月23日に時価総額が約49兆円に達し、バブル時代の1987年につけたNTT（銘柄コード：9432）の時価総額を数千億円上回って日本証券史上最高額となった。

　だが違う点は、現在では海外、特にアメリカの株はそれ以上にすさまじく上昇していることだ。バブル時代は日本株だけの独歩高だったので、世界の個別株式の時価総額ランキングの上位は日本企業がほとんどを占めていた。

　ところが現在は違い、アメリカの株式市場ではトヨタ以上の時価総額を持つ企業がたくさんある。GAFAMと呼ばれる超巨大IT5社の時価総額は2月4日時点で全て1兆ドル（約148兆円）を超えているので、少なくともトヨタの3倍はある。中には一時期だが3兆ドル（約444兆円）を超えた企業もあった。

　そして実態経済を見ると、現在でも一部の企業は好調な業績を出している。2月5日までに3大メガバンクの10～12月期決算が発表された。そして4～12月の利益額が軒並み過去最高を更新していた。

　その一方で一般市民が好景気の恩恵を受けているとは言い切れない。円安のため物価は上がっているものの給与額が上がっているとは限らず、生活が苦しくなっている人々も少なからずいる。バブル時代はかなり多くの人々まで好景気の恩恵が行きわたっていたので、その点も現在とは違う。

　現在は34年ぶりの株高だが、この後弾けて「結局またバブルだった」と言われるのか、あるいは弾けずに上がり続けるのか、それは現時点では誰にもわからない。