トルコも利下げに向かう見通しか

トルコ中銀が25日の午後8時に政策金利を発表し、24％の据え置きとされた。ここまでは市場の予想通りだが、同時に発表された声明ではこれまであった「必要に応じてさらなる引き締めを行う」という文言が削除されていた。これはトルコも場合によっては、次の金融政策変更は利上げではなく利下げになることを示唆している。

引き締めスタンスが変化

トルコ中銀が25日の午後8時に政策金利を発表。金利自体は市場の予想通り、24％の据え置きだった。トルコは通貨リラが昨年8月に暴落したので8～9月に金利を大幅に引き上げて24％としたが、10月以降は変更なく24％に据え置き続けている。

しかし今回同時に発表された声明では、前回まで入っていた「必要に応じてさらなる引き締めを行う」という文言が削除されていた。その代わりに「金融政策スタンスはインフレターゲットを実現するために決定される」という文言が新しく入っていた。

新しい文言は「インフレを抑制するために引き締めを行う」と解釈できなくはないが、前回までのような明確な「引き締め」という言葉が消えている。そのため市場はトルコ中銀が今後利上げではなく利下げもあると判断し、発表後はトルコリラが大きく売られた。

米ドル/トルコリラは25日朝方から政策金利発表まで1ドル＝5.89リラ付近にあったが、発表後にリラ安が進み一時は5.98リラと昨年10月以来の6リラに近付いた。トルコリラ/円は政策金利発表前には1リラ＝18.9円にあったレートが、発表後には18.6円まで下落した。

トルコ中銀がスタンスを変えてきたのは、国内景気が厳しい状態にあることが理由と思われる。トルコはリラの下落を食い止めるために政策金利を24％という極端な水準まで上げてみたものの、金融引き締めは景気を冷え込ませる。

実際にトルコ経済は昨年末以降厳しくなってきている。それがエルドアン政権への不満となって表れたのが、3月31日に行われた統一地方選だ。特に首都・アンカラと最大都市・イスタンブールの市長はこれまで与党出身者が就いていたものの、どちらも与党の候補が負ける結果となった。なおこれらの選挙結果について与党側はまだ異議を唱えており、場合によっては再集計などが行われる可能性もある。

このように世界的な景気減速とトルコの過剰な利上げによって、トルコ経済はかなり落ち込んできている。そのためにインフレと通貨安対策で利上げをするよりも、景気対策で利下げをすることが必要になってきている。

だが金利を下げれば当然ながら通貨・リラは下落しやすくなる。これまで金利を大きく引き上げることでリラ安を食い止めてきたトルコだが、景気が悪化している以上はこれ以上の利上げが難しくなってきた。このような状況だと、リラはさらに下落していき、昨年8月の安値を更新することもあるかもしれない。