シティグループ証券が国債市場参加者の資格停止

米シティグループの日本法人であるシティグループ証券が、国債先物取引において不正な行為をしていた者を監督しなかったとして、財務省から国債市場への参加資格を1ヶ月停止される処分を受けた。先月には野村證券が業務改善命令を出されたばかりであり、大手証券のモラルが問われる事態が続出している。

野村にも業務改善命令

米金融大手・シティグループ（銘柄コード：C）の日本法人であるシティグループ証券が、トレーダーの不正取引を取り締まらなかったとして、監督不行きで財務省から国債市場特別参加者の資格を1ヶ月停止する処分を受けた。停止期間は6月13日から7月12日まで。

不正行為は国債先物取引で行われていた。国債先物の市場は個人が参加することはほとんどないが、機関投資家が参加して売買が行われている。

そして国債先物市場において、シティグループ証券のグループ会社のトレーダーが「見せ玉」と呼ばれる不正行為を過去に行っていた。「見せ玉」とは約定させる気のない大量の注文を市場に出し、取引を混乱させて自分に有利なように市場を動かす行為を指す。この行為は株式市場でも禁止されており、それを国債先物市場で行ったことが問題視された。

この行為を調査した証券取引等監視委員会が4月にシティグループ証券に対し行政処分を課すよう政府に勧告。そして今月11日になって、6月13日から7月12日までの1ヶ月間の国債市場特別参加者資格停止処分となった。

しかし最近行政処分を受けた大手証券会社は、シティグループ証券だけではない。野村證券も5月28日に、金融庁から業務改善命令を受けていた。その理由は以下のようなものになる。

現在東証が1部、2部、マザーズといった従来の市場区分を再編成しようと動いている。この市場再編に関し、野村の社員が東証の「市場構造のあり方等に関する懇談会」の委員を務めており、そこで新しい市場区分について公式発表前の機密情報を得ていた。

ところが参加した野村の社員が守秘義務を守らず、他の社員に秘密を漏らしそれが外部の投資家に知られることとなった。これが問題視され、金融庁が野村に対し、情報管理体制の見直しと今後の再発防止を求め業務改善命令を5月28日に出した。

このようにここ最近で大手証券会社が行政処分を受ける事態が続出している。もちろん大手証券会社の不祥事は今に始まったことではなく、昔から繰り返されてきた。それが今になってまだ続いているということは、大手証券会社のモラルはあまり改善されていないということだ。個人の市場参加者としては、このような事例は聞くたびにウンザリする話であることは間違いない。