ゴーン後の日産は史上2番目の大幅赤字決算

日産自動車が28日に2020年3月期の連結決算を発表し、純損益が6,712億円の赤字と同社としては史上2番目の大幅赤字となった。年度を通してゴーン元会長のいない初めての決算となった日産だが、経営の建て直しは一筋縄ではいかないと見える。

2000年3月期に次ぐ赤字額

日産自動車（銘柄コード：7201）が28日に2020年3月期の連結通期決算を発表。売上高は9兆8800億円で、前年の11兆5700億円から約15％減となった。

前年度は3,182億円だった営業利益は、今年度は405億円の営業損失に転落。また前年は5,465億円だった経常利益は、今年は440億円と前年度比で92％も減少した。そして純損益は前年度が3,191億円の黒字だったが、今年は6,712億円の赤字に転落した。

日産が前回純損失を計上したのはリーマン・ショックのあった時期と重なる2009年3月期で、この時は2,337億円の赤字だった。今期はリーマン・ショック当時と比べても赤字額が約3倍に膨らんだ。そして会社史上最大の純損失は2000年3月期で、この時は6,843億円の赤字だった。

日産と言えば、2018年11月に逮捕されたカルロス・ゴーン元会長の存在が記憶に新しい。ゴーン氏はちょうど過去最大の赤字を計上した2000年頃から日産の指揮を執り始め、そして同社を建て直しその手腕は日本で高く評価されていた。

しかし2018年11月に、有価証券報告書に記載する自分の報酬を過少に申告していた疑いで、東京地検特捜部によって逮捕。その後会社のお金で自宅を購入していたり、個人的に出した金融取引の損失を会社に肩代わりさせるなどあらゆる問題行為が発覚した。

だがゴーン氏は昨年末に楽器ケースに隠れて出国審査をくぐり抜けるという大脱走劇の末にレバノンへ逃亡。その後再逮捕には至っていない。

2020年3月期は、年度を通してゴーン元会長のいない初の決算となった。しかしその決算で史上2番目の赤字を計上した以上、日産の経営建て直しは相当厳しいと判断せざるを得ない。

日産は2020年3月期決算と同時に、今後の経営建て直し計画も発表した。ゴーン時代は生産能力を増やし販売も増やす拡大路線を取っていたが、それを転換し不要な生産設備や人員を削減する方針にする。

これまで700万台だった年間の生産能力を、これまでの計画よりさらに大きく削減して540万台にすると発表。そのためにインドネシアやスペインなど世界各地にある工場の一部を閉鎖すると述べた。

とはいえこの計画はすでに難航が予想されている。スペインの工場が閉鎖される情報が現地従業員にも伝わったため、現地では早くも28日に従業員の一部がタイヤを燃やす行為などを行い抗議した。スペイン政府はこの動きを見て、代替案を検討するよう提案したという。

日産の業績が今期不振だったのは、当然ながらCOVID-19（新型コロナウイルス）の影響が大きい。今期の最終月である3月にはすでに感染は世界に拡がりロックダウン（封鎖）などが行われていたので当然だが、4月以降もパンデミックは終息していない。したがって2021年3月期も日産は相当厳しい経営になると予想される。