みんなのクレジットが損害賠償請求訴訟で敗訴

ソーシャルレンディングサービスを運営していた「みんなのクレジット」は、集めた資金の運用方法が勧誘時の説明と違うとして投資家から訴えられていた。その判決が東京地裁で6月30日に下され、原告の請求通り約1億円の支払いが命じられた。

10％以上の高利回りを謳う

　インターネットの発達によって、これまでとは違う新しい金融サービスが次々と出てきている。ソーシャルレンディング（SL）もその1つで、インターネットを通してお金を貸したい貸し手と、借りたい借り手を仲介するのがSLだ。

　SL企業はここ最近日本で次々と生まれているが、その1つが2015年に設立されたみんなのクレジット（現スカイキャピタル）だった、同社は2016年からSL事業を開始した。

　とはいえこの企業のお金の集め方は、ファンドに近かった。集めたお金を優良企業に貸し付け、投資家は年10～14.5％の高利回りを得られると宣伝した。そのため立ち上げから1年で40億円以上を集めたと言われる。

　しかし翌2017年には早くも問題が表面化する。同社が貸し付けていたのは一般の優良企業ではなく、関係企業など身内に偏っていた。この件や他の問題のために、2017年3月には関東財務局から、8月には東京都から行政処分を受けた。

　そしてこの頃から投資家のみんなのクレジットと関連会社や貸付先を訴える動きが始まる。2018年3月には貸付先企業の1つが「調整お見舞い金」と称して投資家に対して一定額を補償する案を提示したものの、支払い日が定められていないなどいい加減な内容で受け入れる投資家はほとんどいなかった。また同月に社名をスカイキャピタルに変更した。

　みんなのクレジットへの訴訟は複数起こされているが、今回判決が出た訴訟は2019年2月から始まったものだった。この訴訟では投資家22人が、勧誘時に虚偽の説明をした同社は損害を賠償する義務があるとして、約1億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

　この訴訟は1年あまり続いた挙句、2020年6月30日に判決。みんなのクレジットは原告の請求通りに約1億円の支払いを命じられた。同社は敗訴したのだ。

　だがこの裁判は東京地裁で行われた一審だけに、今後はみんなのクレジットが控訴し、二審が終わればさらに上告される可能性も高いだろう。判決の拡大まではまだ何年もかかる長い道のりが待っている。

　このような詐欺紛いの勧誘法でお金を集める事件は、SLが生まれる以前からどこの国でも行われてきた。投資家として気を付けなくてはいけないのは、現実離れした高利回りを謳うファンドなどは常に怪しいということだ。

　みんなのクレジットも年10～14.5％という高利回りを謳っていたが、今の世の中これだけの高利回りを安定して出せる運用先などあまりない。みせかけの高利回りにつられると、手痛いしっぺ返しを受けることになる。