Telegramの創業者が逮捕されトンコインが20％暴落

スマホのメッセージアプリ・Telegramの創業者兼CEOが、日本時間の25日未明にフランスで当局に逮捕された。そしてTelegramの関連法人が発行している仮想通貨のトンコインが、逮捕の報道を受けて20％以上も暴落した。

匿名性が問題視されるTelegram

　スマホのメッセージアプリは世界の多くの国で使われている。日本ではLINEが最も人気で日本だけで1億人近くのユーザーがいるが、LINEは海外のユーザーを合わせても2億人程度で世界最大のメッセージアプリではない。

　それに対してSNSのFacebookの傘下にあるWhatsApp（ファッツアップ）は全世界に約20億人のユーザーがいる。そして2013年に創業され現在はUAEのドバイに本社があるTelegram（テレグラム）も、最近ユーザー数が9億人を超えた世界的なメッセージアプリだ。

　しかしTelegramの創業者兼CEOであるパベル・ドゥロフ氏が、日本時間の25日未明頃に逮捕された。ドゥロフ氏はアゼルバイジャンからプライベートジェットで飛び立ち、フランスのパリ近郊に到着したところを逮捕されている。

　逮捕の理由は、CEOとしてTelegramの適切な管理を怠っていたというものだった。Telegramはメッセージアプリの中でも匿名性が高いことで知られており会話のプライバシーが守られるのがメリットだが、その反面犯罪者に使われやすいという問題があった。Telegramを利用してマネーロンダリング、薬物の密輸、そして児童ポルノの売買など違法行為が行われているという批判が高まっていた。

　そしてTelegramには関連法人が発行する仮想通貨・トンコイン（TON）がある。トンコインは当初「Gram」の名前で2018年に発行計画が始まったものの、アメリカのSECから「Gramは有価証券に該当するのに、有価証券として所定の手続きを経ないで売り出した」との主張で提訴されたため、2020年半ばに和解してGramとしての発行は一旦中止になった。

　しかしその後は仮想通貨の名前をトンコイン（TON）と変え、TON財団という独立した財団を設立しての発行に変更。2021年頃から流通が始まった。

　トンコインのレートは2021～23年には日本円で数百円で推移していたが、2024年になってからの仮想通貨高を受けて7月には一時1,300円まで高騰した。そして今月25日未明はしばらくの間980円付近で大きな動きがなかったものの、午前5時過ぎにドゥロフ氏逮捕の報道が流れると急落。日中はそのまま下げが続き、午後5時過ぎには12時間前から20％以上低い760円台まで売られた。

　この逮捕はテスラのイーロン・マスクCEOが異議と唱えるなど世界的なニュースとなっている。今後ドゥロフ氏の扱いがどうなるかは現時点でわからないが、起訴され有罪になるようなことがあればトンコインのレートにも大きな影響が出てくるだろう。