TaoTaoとBinanceは合意に至らないまま交渉終了

今年1月から提携に向けて交渉を続けてきた日本の仮想通貨取引所・TaoTaoと中国発の取引所Binanceだが、10月5日に合意に至らないまま交渉が終了したとTaoTaoから発表された。

9ヶ月間の交渉が終了

　今年1月中旬から、日本の仮想通貨取引所・TaoTaoと中国発の仮想通貨取引所・Binance（バイナンス）が、戦略的提携に向けて交渉を続けてきた。

　この2つの取引所はそれぞれ日本と世界の仮想通貨業界で一目置かれる存在となっている。TaoTaoはソフトバンクやヤフーと同じグループ企業が70％出資している企業。正確に言うとTaoTaoとは「TaoTao株式会社」という運営会社の名前で、取引所は「TAOTAO」と全て大文字で書く。しかしここでは取引所も含めて「TaoTao」と呼ぶことにする。

　そしてBinance（バイナンス）は中国発の仮想通貨取引所で、取り扱う通貨やサービスの豊富さから数年で世界最大級の取引所に成長した。その後中国では仮想通貨に対する規制が厳しくなったので、現在では拠点を中国外に移している。

　Binanceは以前日本居住者に対してもサービスを提供し、日本語のメニューもあった。しかし無免許で仮想通貨取引所を運営していることを理由に金融庁から警告を受け、2020年1月には日本居住者に対するサービス提供を段階的に終了すると発表した。

　しかしそれとほぼ同時に、TaoTaoがBinanceと戦略的提携に向けて交渉を開始したと発表した。この両社の交渉は、将来的にはBinanceのサービスがTaoTaoを通して再び日本でも提供されるという期待を生むものとなった。

　ところがそれから9ヶ月ほど経った今週5日に、TaoTaoが交渉を終了したことを発表した。そして5日も含めてこれまでBinanceと何らかの合意に達したとは発表されていないので、特に合意なく終了したと思われる。

　これで日本からBinanceを通して仮想通貨を取引できる可能性は低くなった。とは言え現実的には、TaoTaoとの合意はかなり難しかったものと想像できる。

　Binanceは非常に多くの仮想通貨を扱っているが、その多くが日本での取引を実現するのは難しい通貨だ。日本は仮想通貨取引所が扱う通貨に関して規制が厳しく、多くの通貨を取り扱うことは難しい。2020年10月現在で最も多く扱っている取引所で、十数種類程度しかない。

　結局BinanceがTaoTaoと提携して日本で正式に仮想通貨業として登録しても、提供できる通貨やサービスが限られる。そうなるとBinanceにとっても提携するメリットがあまりないと感じても不思議ではない。

　仮想通貨の不正流出問題がなくならないため、規制をかけることは当然必要だ。だが規制が強いと取引できる通貨数やレバレッジ倍率などに制限がかかり、投資家の選択肢を狭めてしまうことになる。