SMBC日興証券の幹部4人が逮捕される

4日夜に日本の3大証券の1つ・SMBC日興証券の幹部4名が、相場操縦の疑いによって東京地検特捜部に逮捕された。日本を代表する証券会社による不祥事に証券業界が揺れている。

ブロックオファーに関連した不正

　4日夜になって、日本の3大証券会社の1つ・SMBC日興証券の幹部4名が、相場操縦の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。逮捕されたのは40～50代の男性4人で、全員株式を扱う事業本部の本部長や部長クラスの幹部。また2名は外国人だった。

　今はネット証券最大手のSBI証券が店頭証券最大手の野村證券を口座数で上回る時代だが、それでもSMBC日興は野村・大和と並んで3大証券会社と言われる。その大手証券会社の不祥事に証券業界が揺れている。

　今回問題となっているのは「ブロックオファー」という取引に関連した不正行為。ブロックオファーは市場外で大口の株主から多量の株式を買い取り、それを同様に市場外で他の投資家に販売する業務。

　これは証券会社に売る方にとっては安定して売れるメリットがあり、また証券会社から買う方は手数料なしで買えるというメリットがある。個人投資家がブロックオファーに関わることはあまりないが、大口顧客には話がくることがあるらしい。

　問題はブロックオファー取引の価格が、株式市場における特定の日の終値を基準に決められること。この終値が低すぎると売り手の方が売ることを渋って取引が成立しない。そこで容疑者たちは、人為的に特定の日の終値を高くする行動を取った。

　これが金融商品取引法違反の相場操縦に該当するとして、4人の容疑者は逮捕された。なおこの件に関連して昨年6月にはSMBC日興証券の本社が強制捜査を受けていたが、捜査から約9ヶ月経っての逮捕となった。

　このような行為は2019年12月から20年11月にかけて約1年間行われ、特定の5銘柄に対して行われていたという。

　なお逮捕後の4人は全員が「通常業務の範囲内」と述べて、違法行為があったことを否認している。しかしその一方で4日にはSMBC日興証券の近藤社長が会見を開き、不正行為を謝罪した。

　この不祥事後初となった週末の6日には、SMBC日興証券は今後の株売買部門の管理体制を強化すると発表した。これで今後絶対同じような不祥事が起こらないとは言えないが、改善しようとしている姿勢だけはあることがわかった。

　昔から証券業界には不祥事がつきものだが、日本でも最大手の証券会社がまたも不祥事を起こしてしまったようだ。