NZが金融緩和を早期終了へ

NZ中銀が14日午前11時に政策金利を発表。予想通り0.25％の据え置きだったが、同時に7月23日をもって量的緩和を終了することを発表した。他の主要国も緩和を縮小し始めており、世界的に緩和から引き締めの流れに移りつつある。

発表後にNZドル急騰

　ニュージーランド（NZ）中銀が14日午前11時に金融政策を発表。政策金利は予想通り0.25％の据え置きと発表された一方、これまで行ってきた量的緩和を7月23日をもって終了すると発表した。

　NZはパンデミックが始まり株安と景気後退の懸念が高まった昨年3月に、金利を現在の0.25％まで引き下げるとともに同国としては史上初となる量的緩和を発表。当初の資産買い入れ額は最大300億NZドル（約2兆3000億円）だった。

　その後同年5月には金額を600億NZドル（約4兆6000億円）に倍増し、8月には1,000億NZドル（約7兆7000億円）とさらに増やした。

　しかし2021年になってNZ経済の過熱感が高まってきているため、7月23日で緩和を早期終了すると発表。また利上げ開始時期の見通しもこれまでより早まり、早ければ今年中にも利上げを開始する見通しになった。

　緩和終了と利上げ時期見通しの早まりを受け、発表後にNZドルが上昇。NZドル/円は政策金利発表前には1NZドル＝77円付近で推移していたが、発表直後に50銭ほど急騰した。

　2020年春にはパンデミックとなり景気後退懸念から世界の多くの国が金利を引き下げ、量的緩和もスタートした。だが過剰な緩和によって物価の上昇が目立ち、新興国の中には昨年後半からすでに金利を引き上げる国も出てきている。

　そして今年になって主要国も緩和縮小に向かい始めている。カナダは昨年3月に週あたり50億カナダドルの緩和を開始したが、昨年10月に40億カナダドルに減額。今年4月にはさらに30億カナダドルまで減額した。

　オーストラリア中銀も7月6日に量的緩和をそれまでの週50億豪ドルから、9月上旬に週40億豪ドルに減額すると発表した。

　他国を見ると、スイスはもともと資産買い入れタイプの量的緩和は行っていない。また日本は現在の黒田体制である限り、量的緩和の縮小は発表しないままだろう。

　残りの主要国はアメリカ、イギリス、ユーロ圏あたりになる。アメリカは景気回復とインフレ傾向が鮮明で、以前の予想より緩和縮小や利上げがかなり早まると予想されている。またワクチン接種が進むイギリスも同様だ。ユーロ圏はまだ緩和縮小については何も発表がないし、早期に終了するという予想もあまりない。

　14日のNZ中銀や他国の動きに見られるように、だんだんと緩和を縮小して引き締めに向かう動きが出てきている。景気回復とインフレ傾向が出てきている以上、極端な緩和を長期間続けることは難しい。