LINE

LINEの金融分野への進出は成功するか

user 著者 鳥羽賢
calendar 2019年2月14日

スマホアプリのLINEが、去年から金融分野への進出を加速している。LINEは日本では圧倒的多数の人が使っており、そのユーザー数の多さを活用して金融サービスも開始しようとしている。この多角化は成功するだろうか?

銀行、保険、証券に進出

LINE(銘柄コード:3938)はスマホ上のコミュニケーションアプリとして2011年からサービスを開始し、日本で爆発的に広まり2016年7月には運営元の企業も上場した。そしてLINEのサービスはコミュニケーションだけに留まらず、ゲームから音楽配信など、あらゆる方面に展開している。

さらに去年以降は、LINEが金融分野にも進出してきている。ただしお金に関するサービスはそれ以前からLINE Payという決済サービスが存在していた。これはLINE Payのユーザー間で送金したり、キャッシュレスでお店で買い物ができるサービスだった。

しかし去年以降になって、単なる決済ではなく他の金融分野に本格的に進出してきている。昨年6月には、証券大手の野村ホールディングス(銘柄コード:8604)と組んで、スマホを使った証券会社である「LINE証券」の設立を目指すと発表。2019年2月現在でまだ業務は開始していないが、遠くない将来には開始すると思われる。

昨年10月には、損害保険ジャパン日本興亜と組んで、保険サービスの「LINEほけん」を開始。これは他のLINE関連サービスと同様、スマホ上で保険を選んで契約ができるというサービスだ。

そして昨年11月には、みずほ銀行と組んで「LINE銀行」の設立事業を行うと発表した。これは2019年春に企業を立ち上げ、2020年中の銀行開業を目指している。

これでLINEは、銀行、保険、証券と金融の3大事業全てに進出することになった。すでにスマホを使った決済サービスは行っており、それも含めるとかなり幅広くマネーの分野で事業を展開することになる。また仮想通貨についても、日本ではまだ仮想通貨取引所業務は行っていないが、シンガポールで昨年7月に「BITBOX」という仮想通貨取引所を開始した。

LINEがこれから展開しようとしている、銀行、保険、証券の金融事業は上手くいくだろうか?日本にはすでに8000万人ほどのLINEユーザーがいるので、その人々を潜在的な顧客と考えるならかなり多い。

その意味では楽観的になれるかもしれないが、LINEのユーザーは比較的若年層が多い点を考えるとどうだろうか?特に証券会社の場合、投資を行うのは中高年層が多く、その層はLINEのメインユーザーではない。もちろんLINEユーザーには中高年層も多いが、その層にとってはスマホを使って証券会社の口座を開き、株式の売買をするのはちょっとハードルが高いかもしれない。

最近成功した新しい銀行の形態として、コンビニ銀行がある。セブン銀行に代表されるのがそれだが、コンビニという日本に多く存在する店舗にATMを設置し、個人にとっては既存の銀行のATMに行くよりも便利な存在になった。

LINEが設立しようとしているLINE銀行はスマホを使った銀行になるが、それも上手くいけば新しい銀行の形態として普及するかもしれない。

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