FTXジャパンがついに出金を再開

海外大手仮想通貨取引所のFTXは、11月に破綻して世界の仮想通貨業界に衝撃を与えた。その後FTX本社や世界各国のFTX関連企業の顧客が資金を取り返せない中、FTXジャパンは21日正午から出金を再開。これは世界のFTX関連企業の中で最速となる。

顧客の資産を分別管理していた

　昨年11月11日に海外大手仮想通貨取引所のFTXが破綻。この破綻は突然起こったという点と、負債額が日本円で数兆円にもなるという点で世界の仮想通貨業界に衝撃を与えた。

　その後FTX本社は破産手続きに入っており、資産は管財人によって管理されている。本社や世界各国のFTX関連企業は多くの顧客を抱えていたのだが、顧客は破綻から3ヶ月経った現在になっても預けた資金を取り返すことができない状況が続いている。

　しかしそのような状況の中、日本法人であるFTXジャパンは今週21日正午から出金を再開した。これは世界のFTX関連企業の中で最速の出金再開になる。この出金はFTXジャパンから直接できるのではなく、別取引所のLiquid Japan（リキッドジャパン）に移行し、そこから出金する形で可能になる。

　FTXは2022年2月に仮想通貨取引所・QUOINE（コイン）を運営していたLiquid Group（リキッド・グループ）を買収し、同年6月からFTXジャパンとして仮想通貨取引所業務を開始した。Liquid JapanはLiquid Groupが運営する取引所なので、FTXジャパンとはゆかりが深い。

　今回世界に先駆けて出金が再開できたのは、FTXジャパンが日本の規制に守られて厳格に顧客資産を分別管理していたことが大きかった。もともとFTXが破綻した理由は、顧客資産をグループ企業のアラメダ・リサーチの経営に流用したことだった。そのため顧客から出金依頼が増えた時に資金が足りなくなり、そのまま破綻した。

　それに対してFTXジャパンは金融庁の規制によって顧客資産は分別管理されており、他社の経営には流用できないしFTX本社の資産のように凍結されることもなかった。

　ただしFTX破綻の影響で出金システム自体が動かなくなったため、新しい出金システムの構築に3ヶ月以上かかった。しかしLiquid Japanを通して出金するシステムが完成したことで、2月21日の出金再開となった。

　今回は日本の厳しい仮想通貨規制によって投資家が保護されたと言える。日本は規制が厳しいため、日本の取引所は海外取引所に比べて多くの仮想通貨を取り扱っていない。だが投資家を保護するにはやはり規制を厳しくした方がいいことが、今回の一件でわかった。

　FTX本社は破綻後に日本法人を売却する意図があると発表した。そうなるとFTXジャパンはどこかの他社に売却され、社名を変えて業務を再開する可能性が高い。21日の出金再開は復活のための第一歩と言えよう。