CDSに投資できるETFが米で認可される

CDS（クレジット・デフォルト・スワップ）というデリバティブ商品があるが、これまで個人投資家には縁のないものだった。しかしアメリカで、CDSに連動したETFが最近認可された。

信用度を証券化したCDS

CDSとは簡単に言うと、クレジット、つまり企業や国家の信用度を証券化した金融商品だ。CDSは社債や国債の信用度を取引しており、債券の発行体がデフォルトを宣言すると、CDSの買い手はその補償を受けられる仕組みになっている。CDSは、企業や国家が財政的に逼迫すると価格が上がっていき、反対に財政的に安定した状態なら価格は低いまま安定する性質を持っている。分かりやすい例で言うとギリシャは2010～11年頃にデフォルト危機に陥っていたので、この間ギリシャ国債のCDSはすごい勢いで価格が上がっていった。

反対に同じヨーロッパでもドイツなど国債の価値が安定してデフォルトとは縁のない国のCDSは、ずっと低い価格のまま推移している。CDSの価格は企業や国家がどれだけ破綻に近づいているかの指標にもなるので、CDSの価格を参考にして債券への投資を判断する投資家も少なからずいる。

CDSは比較的最近登場した商品だが、まだ個人投資家には取引できる手段はなかった。取引できたのは、主に金融機関などの機関投資家のみだ。しかし最近になって、アメリカでCDSに連動することを目的としたETFが認可された。認可されたETFは全部で8銘柄あり、アメリカやヨーロッパのCDSに連動することを目的としている。CDSの価格が上がればETFの価格も上がるブルタイプもあるし、反対にCDSの価格が下がればETFの価格が上がるベアタイプもある。

このETFを提供しているのは、多くのETFを販売しているプロ・シェアーズ（ProShares）という会社だ。そして今回認可されたETF8銘柄は、「ProShares CDS North American HY Credit ETF」「ProShares CDS Short North American HY Credit ETF」「ProShares CDS North American IG Credit ETF」「ProShares CDS Short North American IG Credit ETF」「ProShares CDS European HY Credit ETF」「ProShares CDS Short European HY Credit ETF」「ProShares CDS European IG Credit ETF」「ProShares CDS Short European IG Credit ETF」となっている。

アメリカのETFなので、日本から買うことはできないと考えてしまうかもしれないが、そんなことはない。日本でも海外ETFを扱っている証券会社はいくつかあるので、それらがCDSのETFも将来扱うかもしれない。

どういう商品であれ、デリバティブにはリスクがつきもの。CDSについてもリスクをしっかり理解してから投資したいが、個人投資家にとっての選択肢の1つとなるだろう。