7月から株式の受け渡し日が1日早まる

日本の株式市場では現在まで「株式の受け渡しは約定から3営業日後」というルールで取引が行われてきた。しかし7月からこのルールが変更され、受け渡しは約定の2営業日後と1日早まることになる。7月以降は配当や株主優待を狙う場合にもこの点を留意しておく必要がある。

配当や優待取り時に注意

株式を売買すると、約定後に売買された株式の受け渡し（決済）が行われる。これは約定し売買が成立した場合、その株式を売り手から買い手に渡す手続きだ。そして日本の株式市場では、「受け渡しは約定から3営業日後」というルールがこれまで適用されてきた。

例を挙げると、6月12日水曜に株式を売買して約定した場合、その受け渡しは3営業日後の6月17日月曜に行われる。これは「3営業日ルール」と呼ばれてきた。

ところがこれまで日本の株式市場で使われてきたこのルールが、7月から変更される。正確に言うと7月16日火曜約定分から新しいルールが適用される。新しいルールでは、受け渡し日はこれまでの3営業日後から2営業日後に、1日早まる。

これは証券会社で株式を売買したり、出金したりする手続きに影響する。大抵の証券会社では、株式を売却すればその売買代金はすぐに口座の買付余力に反映される。つまり売った金額ですぐに別の株式を買うことができる。その一方売った金額分の出金は、株式の受け渡しが行われる3営業日後までできない。受け渡しが2営業日後になると、出金も2営業日後にできることになる。

そして注意しないといけないのは、配当や株主優待を狙う場合だ。配当や株主優待は特定月の月末に株を持っていることで受け取ることができる。その月末日を権利確定日という。

制度が変わる7月を例に挙げると、7月に配当や株主優待の権利確定日がある株式の場合、権利確定日は7月31日水曜になる。そしてこの日に株式の受け渡しが終わっていないといけないので、これまでのルールだと配当や株主優待を得るためには7月26日金曜までに約定しておく必要があった。それが16日約定分からルールが変わるため、2営業日前の7月29日月曜でも間に合うようになる。

むしろ注意すべきは配当や株主優待の権利を得てすぐに売りたい場合かもしれない。上と逆に株主優待の権利を得たらその翌日（権利落ち日）に株を売りたい場合、これまでのルールでは7月29日に売っても配当や優待をもらうことができた。だがルールが変わると2営業日後に受け渡しのため、29日に売ったら権利を失ってしまう。その場合は新しい権利落ち日である7月30日火曜に売らないといけなくなる。

配当や株主優待の権利をもらってすぐに売りたい場合は気をつけなくてはいけないが、基本的には受け渡しの1日短縮は投資家の利便性を高める制度と言えるだろう。