5日にトルコの6月CPI発表

著者鳥羽賢

2021年7月4日

5日の午後4時にトルコの6月CPIが発表される。現時点では前年同月比＋17.0％が予想されているが、発表される数字次第で14日のトルコ政策金利発表に大きな影響を与えることになる。

予想通りなら据え置きか

　5日の午後4時にトルコの6月消費者物価指数（CPI）が発表を予定されており、今回は前年同月比＋17.0％と予想されている。この数字は14日に発表予定のトルコの政策金利に大きく影響する。トルコでは昨年秋頃からインフレ率が高まっており、また為替市場ではトルコリラの下落も続いてきた。

リラの下支えとインフレ抑制のために昨年秋から中銀が何度も利上げを行い、3月にトルコの政策金利は19％になった。3月に最後の利上げを発表した直後の3月20日にトルコ中銀の前アーバル総裁が突然更迭され、現カブジュオール総裁が指名された。カブジュオール総裁は以前から緩和派として知られていたこともあり、その後4～6月の3ヶ月間は全て金利据え置きを発表してきた。

　とはいえカブジュオール総裁もインフレについてはかなり気にしており、「インフレが進行すれば利上げを行う」と何度か発言してきた。その一方でエルドアン大統領はカブジュオール総裁が就任する前から中銀に対しては常に利下げをするよう圧力をかけてきた。

　つまり現在のトルコ中銀は利上げと利下げどちらを発表してもおかしくない状況にある。その状況にあって、トルコのインフレ率は次回の政策金利発表がどうなるかを決定する大きな要因になる。

　5日発表の6月インフレ率が17％の予想通りならおそらく14日の政策金利発表では据え置きが予想されるだろう。しかしもっと高い数字が発表されると話は変わる。

　カブジュオール総裁は「政策金利はインフレ率を上回る水準を維持する」と述べている。現在の政策金利は19％なので、5日発表のインフレ率が19％を上回るようなことがあれば14日に利上げが発表される可能性はかなり高くなる。

　一方でインフレ率が予想をかなり下回れば、利下げが発表されることも考えられる。しかし為替市場におけるリラ安はまだ進行しており、7月2日の終値は1ドル＝8.68リラと対米ドルで史上最安値の8.8リラにかなり近い水準に留まっている。

　対円では1リラ＝12円80銭と史上最安値の12円10銭までまだ少し幅がある。だが対米ドルで安止まりしていることから、利下げを発表することはかなり難しい。利下げを発表したらリラがさらに下落するだろう。

　一番可能性の高いのは、5日のインフレ率発表はほぼ予想通りで、14日は金利据え置きと発表されるシナリオだ。だが5日のインフレ率が予想を大きく外れると、14日の政策金利発表もわからなくなる。

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