23日からBakktのビットコイン先物が取引開始

来週の9月23日月曜から、アメリカのBakktという企業がビットコインの先物取引をスタートする。この先物はこれまでのビットコイン先物と違い、現物引き渡しを前提とした取引になるため、関係者の間で期待が膨らんでいる。

CMEの先物とは別物

アメリカのBakkt（バックト）という企業が、9月23日月曜からビットコインの先物取引を開始する。そしてこの先物はこれまで提供されていたビットコイン先物と違い、現物引き渡しが前提となっている。

ビットコイン先物についてさらなる説明に入る前に、Bakktという企業について簡単に説明しておこう。BakktはICEの子会社として設立された仮想通貨企業で、アメリカのアトランタに本社がある。

ICEとはインターコンチネンタル取引所の略で、アメリカのニューヨーク証券取引所など複数の証券や先物取引所を傘下に持つ企業。そのICEが仮想通貨業務を行う子会社として2018年8月に設立したのが、Bakktだった。

そのBakktが来週からビットコイン先物取引を開始するわけだが、ビットコイン先物自体はこれが世界初ではない。仮想通貨が世界的ブームになった2017年の末に、アメリカのCME（シカゴマーカンタイル取引所）とCBOE（シカゴ・オプション取引所）という2つのデリバティブ取引所が、それぞれビットコイン先物を開始した。

しかしその後CBOEの先物の方は取引量が低迷していたため、約1年半を経た今年の夏頃に提供を終了している。一方CMEのビットコイン先物はまだ残っている。

今回Bakktが提供するビットコイン先物がこれまでと違うのは、現物引き渡しを前提としている点にある。つまり先物を買った後に売って買売益を得るのではなく、一定期日の後に現物のビットコインを受け取る（あるいは売り建てならビットコインを渡す）ことが目的になる。

これはどのような顧客が対象になるかというと、主にビットコイン建てで取引をしている企業になる。企業が取引を行う際「3ヶ月後に手形で決済」など、契約成立から決済まで期間が空くことは普通にある。

日本企業が日本円で取引するなら後日決済でも為替リスクは存在しないが、外貨建てだと決済日までに為替レートが変動して予想していたより入金が減る可能性がある。ましてそれが変動の激しい仮想通貨建ての取引ならなおさら為替リスクは大きい。

そこでBakktの現物引き渡し式ビットコイン先物なら、契約が成立した時点で先物でビットコインを買っておけば、決済時までにレートが変動したとしてもその為替リスクをヘッジできる。またビットコインを「払う」側にとっては、ビットコイン先物を売っておけば同じく実際に支払う期日までの為替リスクをヘッジできる。

個人投資家にはそれほど関係ないと思われるBakktのビットコイン先物だが、市場は期待している。それはこの先物が今後のビットコイン普及、そして価格上昇にもつながることが期待できるためだ。