2度目の住民投票を目指すスコットランド

今月末のEU離脱がほぼ確定したイギリスだが、英連邦の一部であるスコットランドでは2014年に続く2度目の独立を問う住民投票を望む声が高まっている。この問題は将来的にイギリスの土台を揺るがしかねない。

2014年にも住民投票

イギリスという国は一枚岩ではなく、その中にイングランド、スコットランド、北アイルランドなどが含まれている。例えばサッカーを見ても、「イギリス代表チ」というチームはなく、イングランド代表とスコットランド代表は別々に存在している。ただしスコットランドチームはそれほど強豪ではないので、ワールドカップに出場することはあまり多くない。

そしてスコットランドでは2014年9月に、英連邦からの独立を問う住民投票が行われた。投票の結果は残留55％、離脱45％と大差ではないものの残留派が勝利。ここでスコットランドの独立問題は一旦落ち着いた。

しかしその後イギリス内外の環境は大きく変わる。2016年6月にイギリスでEU離脱を問う国民投票が行われ、離脱派が多数となりEUからの離脱が決定した。この時スコットランドだけで見れば残留派の方が過半数だったために、この頃からスコットランドでは英連邦からの独立を望む声が高まる。英連邦から独立して、再度EUに加盟しようと望む人々が増えてきた。

スコットランドには自治政府があり、現在では議会も独立を望む議員が多くなった。そこでスコットランド自治政府は英政府に対して住民投票の実施許可を要請していたのだが、最近になってジョンソン政権はそれを拒否した。

2014年の投票は許可したのに今回はしなかったわけだが、イギリスは現在EU離脱問題で不安定になっており、これ以上不安定化のリスクは負えないために拒絶したと思われる。だがスコットランドがこれで諦める可能性は高くない。今後は独立とそれを問う住民投票を巡って、スコットランドと英連邦政府の対立が深まる恐れもある。

すでにこのような事態になっているのが、スペインとカタルーニャだ。カタルーニャはスペインの一地方だが、ここ最近スペインからの独立機運が高まっている。そしてスペイン政府は独立を問う住民投票を認めようとしないため、2014年と17年には非公式で住民投票が行われた。

この投票に対してスペイン政府は投票用紙を当局が押収するなど数々の妨害行為を行ったが、それらを潜り抜けて投票は行われた。さらにカタルーニャでは住民投票に賛成するデモや、他の地域では逆に反対するデモが行われ、スペイン全土が騒然となった。

今後イギリスとスコットランドでこのような事態が起こらないとは言えない。スペインの場合はユーロ圏の1ヶ国だったため、カタルーニャの問題がユーロのレートに影響することはあまりなかった。しかしイギリスで同様の問題が起きたら、ポンドのレートに大きく影響することが考えられる。