12日に発表された政策金利4件とレートの動き

12日は4ヶ国・地域の政策金利がまとまって発表された。どれも重要なので、ここで今日発表された政策金利と同時に発表された声明の内容、発表後のレートの動きなどをまとめてみた。

全てほぼ予想通り

12日は政策金利発表ラッシュの日だった。まず午前4時にはアメリカの政策金利が発表。市場の予想通り1.5～1.75％の据え置きとされた。FOMCは7月から10月まで3回連続で利下げをしてきたが、4回ぶりの据え置きだった。

同時に発表された声明では、前回と同様に「見通しの不透明感が残っている」という文言が削除され、米経済の見通しがよくなってきたことを示した。その後のパウエル議長の会見では「利上げには相当な持続性があるインフレが必要となる」と述べ、近い将来の利上げはないことを示唆した。

発表前は108円70銭付近にあった米ドル/円だが、パウエル議長の発言内容などから今後の利上げ見通しが遠のき、政策金利発表時から会見にかけて20銭ほど下落した。

2020年のFRBの金融政策はどうなるだろうか？パウエル議長の発言が示していたように、利上げは当分考えられない。となると問題は追加利下げかあるいは据え置きが続くかになる。

パウエル議長としては追加利下げを避けたいようだが、トランプ大統領からはもっと金融緩和をするよう常に圧力がかかっている。そうなると決め手になるのは景気や株の動きだ。来年になり米経済や株式市場が下降すると、利下げ圧力はもっと高まるだろう。

午後5時半にはスイスが政策金利を発表し、－0.75％のまま現状維持とされた。同時に発表された声明では2020年と21年のインフレ率見通しが下方修正された。また「スイスフランは過大評価されている」との文言があり、フラン高をけん制していた。

発表前には110円60銭あたりで取引されていたスイスフラン/円だが、この発表を受けわずか10銭ほど上昇。しかし約1時間後には発表前の水準に戻り、大きな動きにはならなかった。

午後8時にはトルコが政策金利を発表し、現行の14％から2％引き下げて12％とした。これでトルコは過去6ヶ月間で12％もの利下げをしたことになる。

昨年8月にトルコリラが大暴落する前の政策金利は17.75％だったので、現在はその時点より金利が低くなった。ただし昨年4月時点では8％であり、トルコ中銀やエルドアン大統領としてはその水準まで下げたいと思われる。

予想以上の利下げだったとはいえ、トルコリラは発表後に上昇。発表前の1リラ＝18円70銭から、発表後数時間で10～20銭リラ高になっている。

そして午後9時45分にはユーロ圏が発表し、政策金利・量的緩和ともに変更はなしだった。今回はECBがラガルド新総裁になって初めての政策金利発表となった。そして新総裁は会見で「景気の安定化の兆候がいくつか見られる」と述べ、ユーロ圏の景気が安定に向かっていることを強調した。そして「ECBは必要に応じてあらゆる措置を取る」とも述べていた。

ラガルド新総裁の会見は全体的に無難に終わったかに見える。政策金利発表前のユーロ/円は121円付近にあったが、政策金利は予想通り、総裁の会見も無難に終わったために特に反応はなかった。

12日の政策金利発表は以上だが、12日にはイギリスの総選挙が行われている。この大勢は日本時間の13日午前に判明すると見られており、その内容次第では金融市場に影響することも考えられる。