金の次は銅!?銅価格が高騰中

昨年夏頃に高騰した金価格もその後は下げが続いている一方、銅価格は夏以降もずっと高騰。2011年につけた史上最高値の更新が間近に迫っている。

EVシフトも買い材料

　昨年春から夏にかけて金価格が高騰し、8月には史上最高値の1オンス＝2,070ドルをつけた。しかしそこがピークとなり、その後は2021年3月まで約7ヶ月間金価格は下落。最近は1,700ドルを割って1,600ドル台もつけた。

　その一方で昨年夏以降もずっと上昇している金属銘柄がある。それが銅だ。国際的な銅価格の指標として利用されているのは、LME（ロンドン金属取引所）で取引される銅の価格。そしてLMEでは銅は1トンあたりで取引される。

　これまで数十年の銅の値動きを簡単に振り返ると、1980～2005年までは1トン＝1,500～2,500ドルで長期間安定した動きが続いた。それが2005年以降は商品先物の全体的な上昇トレンドもあり銅価格も上昇。2011年2月には史上最高値の約10,000ドルをつけた。

　しかしそこで上昇が止まり、2016年には一時5,000ドルを割るところまで下落。さらに2020年春にもパンデミックに伴う世界経済の景気後退懸念で、一旦5,000ドル近くまで下げた。

　だが春以降は急上昇が続き、金価格の上昇が止まった夏以降も銅は止まらず。今年の2月25日には9,600ドルを超え、最高値の更新まであと一歩と迫った。その後はやや調整の動きが入り、3月9日現在で9,000ドル付近まで下がっている。

　銅価格はなぜここまで上がっているのか？大きな要因の1つと見られているのが、パンデミック終息と景気回復期待が高まっていること。銅は金と違って電線などいろいろな製品に対する実需があり、実需が高まれば銅価格も上がる。

　また銅は南米のチリとペルーが大きな生産国になっているが、これらの国でパンデミックやストライキのために一部の銅鉱山が創業停止となった。これが供給不安を高め、銅価格の上昇要因となっている。

　さらに世界の自動車産業でガソリンからEV（電気自動車）へのシフトが本格化している点も銅の買い材料となった。EVは電気で全て動くので、ガソリン車よりも配線が多く銅を多く必要とする。2020年に各国政府や自動車メーカーでEVシフトの動きが多く発表された。

　そしてすでにメディアでも報道されているように、日米などが大規模金融緩和を行っているのでそのマネーが銅にも流れ込み価格を押し上げていると見られる。

　これらの上昇要因の中でも特にEVシフトはこれから何十年も続く動きなので、その間銅の価格は上昇トレンドが続くことも考えられる。