遠のいてきた先進国の政治的リスク

筆者 鳥羽賢 |

2016年から17年の政治的リスクはすでに過去のものとなった。

 一昨年から昨年にかけて、先進国の政治的リスクがいくつか存在した。しかしそれらは全て2018年初頭までに片付き、先進国の政治的なリスクは一旦遠のいたと言っていい。

 

政治的リスクがあったが…

 

bitcoin 2016年から17年にかけて、先進国における政治的リスクがいろいろ存在した。例えば2016年6月に行なわれた、イギリスのEU離脱を問う国民投票。投票前は、「投票でEU離脱が決まったらEUの存続そのものも危なくなり、金融市場にも大きな影響が出る」と言われたものだ。

 そして投票はEU離脱派の勝利に終わり、結果が判明すると急激な円高・株安になった。だが円高・株安の動きは短期的なもので、その後株式市場は上昇基調に戻った。投票後はイギリスとEUが離脱に向けて交渉を進めており、いくつか対立点はあるがおおむね順調に進んでいる。この件の金融市場への影響もあまり出ていない。

 2016年秋には米大統領選があった。この大統領選ではドナルド・トランプというこれまでの米大統領候補とは全く違ったタイプの人物がおり、当選したら米国内外がかなり荒れるのではないかと懸念されていた。

 そして投票ではトランプ候補が勝利した。勝利が決まると英国民投票の時と同様、今後を懸念した円高・株安が進行した。しかし円高・株安はまたも短期的なもので終わり、その後数ヶ月はトランプ政権の経済政策に期待が高まり「トランプ相場」と呼ばれる円安・株高相場になった。

 トランプ大統領は2017年1月に正式就任。就任直後は特定の国出身の移民を入国禁止にするなど大胆な政策を実施し、国内外への影響が非常に大きかった。

 またその後も選挙期間中のロシアとのつながりを問われるスキャンダルや、閣僚の相次ぐ辞任などさまざまな問題が浮上してきた。しかしロシアとのつながりでは結局トランプ大統領の弾劾にまではいたらず、閣僚の辞任も辞めたら後任を見つけるという形でこれまでやってきた。

 トランプ政権はいろいろと問題がありつつも、これまで1年半存続してきた。今後はよほど大きな問題が出ない限り、2020年末の任期満了まで行くだろう。2020年には次の大統領選があり、トランプ大統領は再選を狙ってくると思われる。

 2017年には欧州で重要な選挙がいくつかあった。3月にはオランダの総選挙があり、極右勢力がどこまで議席を伸ばすか注目されていた。だが極右勢力はそれほど伸びず、この選挙は無難な結果に終わった。

 春にはフランスで大統領選があり、こちらも極右と言われるEU離脱派のルペン候補が勝利するかが注目材料だった。しかし終わってみると、ルペン候補は負けEU残留派のマクロン候補が勝利した。

 秋にはドイツの総選挙があり、同じように極右勢力がメルケル首相の4選を食い止めるためにどこまで善戦するかが焦点だった。結果として極右勢力は議席を伸ばしたが、メルケル首相は4選された。総選挙後は連立相手が決まらず数ヶ月間政治空白があったが、今年になって前期と同じ社会民主党(SPD)との連立を組むことで合意した。

 このように2016年から17年までに存在した先進国の政治的リスクは、全て無事に通過した形になった。今後は政治的リスクではなくアメリカの金融引き締めなどが、株式市場の頭を抑える材料になると思われる。



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筆者について
鳥羽賢

慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。ポータルサイト『オールアバウト』では、「世界のニュース・トレンド」テーマなどで、数年間政治・経済ニュース記事を執筆。FXの専門誌『月刊FX攻略.com』でも各通貨ペアの特徴解説など、FX攻略記事を執筆した経験がある。主な著書に、『とにかくわかる! FX超入門者』(すばる舎)などがある。翻訳活動も行い、FX投資教材の翻訳を中心に、金融分野の翻訳実績も多数。自身でも投資を行い、FXのトレードも2006年以来7年以上にわたって継続している。