週明けは米国債格下げの影響で米ドル安

先週末の17日土曜に、格付け会社のムーディーズが米国債を1段階格下げした。週明け19日の為替市場ではその影響で米ドル安が進行したものの、NY株式市場など他の金融市場への影響は比較的軽微だった。

為替は144円台まで円高に

　日本時間の先週末17日土曜早朝頃に、格付け会社のムーディーズが米国債を最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階格下げした。格下げ後の見通しは、今後しばらくは新たな格下げがないことを示す「安定的」だった。

　米国債はかつて世界3大格付け会社の全てから最高ランクの格付けをされていたのだが、2011年夏にS&Pが、2023年にはフィッチが1段階格下げした。そして今回のムーディーズ格下げで、3社全てが格下げしたことになる。

　2011年夏にS&Pが行った米国債の格下げは史上初だったため、この時は株式市場が暴落するなど多大な影響が出た。そのため先週末のS&Pによる格下げも、週明けの金融市場に何らかの影響が出るのではとの懸念が高まった。

　そして始まった週明け19日に、まず米国債格下げの影響が出たのは為替市場だった。先週を1ドル＝146円付近で終えた米ドル/円だが、週明けは米国債格下げの影響で先週終値より50銭ほど円高・米ドル安の145円台前半からスタート。

　その後も午前中から午後にかけて米ドルの軟調な動きが続き、午前10時頃には145円を割って144円台まで落ち込んだ後、夜には144円70銭まで円高になった。

また債券市場も米国債格下げの影響を受けた。国債には株式市場と同様リアルタイムに売買される国債市場があり、国債市場における国債の価格と利回りは反対に動く性質がある。国債が買われて価格が上がると利回りは下がり、逆に売られて価格が下がると利回りは上がる。

　米長期金利、つまり10年物米国債の利回りは先週の終値が4.45％だった。だが米国債格下げの影響で週明けの債券市場では米国債が売られて価格が下落し、利回りはその反対に上昇。利回りは夜に4.55％と約40日ぶりの高水準をつけた。

　また株式・指数先物も多少の下げを見せた。先週金曜を42,654ドルで終えたNYダウは、米国債格下げを受けて日本時間19日日中の先物は300ドルほど安い42,300ドル台で推移。しかし午後10時半にNY株式市場が始まると、開始直後には日中の先物と同じ42,300ドル台をつけたがその後先週の終値付近まで急反発した。

　全体的に見て懸念されたほどの悪影響は出ていないが、それはムーディーズが以前から米国債の見通しを「ネガティブ」にしており、近い将来に格下げがあることは織り込み済だったためと思われる。