自民党の実力者が次々辞任で円安進行

参院選で敗北して以来不安定になっていた石破政権だが、2日になって森山幹事長をはじめとする党四役が全員辞任を表明した。これまで政権を支えてきた4人が辞任したことで、石破総理は極めて厳しい立場に立たされることになる。

日経225先物は下落

　7月に行われた参院選で与党・自公は過半数を失う大敗を喫した。石破政権は昨年10月の総選挙で敗北し、さらに今年6月の都議会選挙、7月の参院選と重要な選挙で3連敗となった。

　自民党の通例なら、このように選挙で連敗すれば総理は責任を取って辞任するものだった。しかし石破総理はその通例を破って辞任せず、参院選後も「辞任するつもりはない」との姿勢を貫いてきた。

　しかし今週2日になって、自民党の重要人物である森山幹事長が、参院選敗北の責任を取ることを理由に幹事長ポストからの辞任を表明した。それに続き、同じ日に小野寺政調会長、鈴木総務会長、そして木原選対委員長の3名も辞任を表明。これら4名は自民党の党四役と言われる重要ポストで、その4人が同日に全員辞任を表明したことになる。

　党四役が揃って辞任したことで石破総理の辞任の可能性が大きく高まった。そして石破総理が辞任すればその後政局が不安定になる可能性があるため、政局不安定化懸念を受けて辞任表明後は円安が進行した。

　2日朝方には1ドル＝147円だった米ドル/円は、この日朝方に日銀の氷見野副総裁が利上げに慎重な発言をしたため、午前中から円安・米ドル高が進行して午後4時頃には148円をつけた。そして午後4時過ぎに森山幹事長と他の3名が辞任を表明すると、円は148円80銭まで急落。この水準は8月初頭以来約1ヶ月ぶりの円安となる。

　政局不安定化懸念が高まったことで、円安にも関わらず国内の株価指数先物は下落。森山幹事長が辞任を表明した午後4時頃は、東証が終わり先物のナイト・セッションが始まる前の合間の時間だった。

　東証引け時の午後3時半時点では42,300円付近だった日経225先物は、森山幹事長と他の3名が辞任を表明したためにナイト・セッションが始まると大幅下落。42,000円を割っても止まらず、午後9時頃には41,800円台をつけている。

　さらに2日には、サントリーホールディングスの会長にして経済同友会の代表幹事である新浪氏が、所有していたサプリメントの関係で警察の捜査を受けたことを理由に辞任した。

　これで2日だけで政界・財界の重要人物が5名も辞任したことになる。日本という国を揺るがす一大事になっただけに円が売られるのは当然かもしれないが、今後も政局安定しなければ円安が一段と進行することも考えられるだろう。