自動車業界の大規模不正で自動車株軒並み下落

3日になって日本の主要自動車メーカー5社が「型式指定」を申請するにあたり不正行為を行っていたことが発覚。この事件を受けて4日の東京株式市場ではトヨタ自動車をはじめ自動車株が軒並み下落した。かつてない規模の不正発覚で日本の自動車業界が震撼している。

昨年はダイハツが不正

　週明け3日になって、日本の自動車業界を大きく揺るがす重大な事態が発覚した。主要な自動車メーカー5社が、大量生産のための「型式指定」を申請する手続きで大規模な不正行為を行っていたことが公表された。

　今回問題となった5社はトヨタ自動車（銘柄コード：7203）、ホンダ（銘柄コード：7267）、マツダ（銘柄コード：7261）、スズキ（銘柄コード：7269）、そしてヤマハ発動機（銘柄コード：7272）と日本を代表する自動車メーカーばかり。日産自動車（銘柄コード：7201）はかろうじて含まれていなかった。

　不正は主に型式指定を受けるための試験で行われていた。例えばトヨタとマツダの例では、衝突の試験でエアバッグを自動的に作動させないといけないにも関わらず、人工的に作動させて結果を記載する不正が行われていた。

　特に深刻な現行生産車の不正はトヨタ自動車の3車種、マツダの2車種、そしてヤマハ発動機のバイクで1車種で見つかった。またこれら3社を含む5社全てで過去の生産車で不正が見つかっていた。過去の不正はトヨタ自動車が4車種あり、さらに5社全ての現行・過去の不正を合わせると38車種にも及ぶ大規模なスキャンダルになる。

　そもそもこのように自動車メーカーが不正の有無を再確認することになったのは、昨年発覚したトヨタの子会社・ダイハツ工業で不正が発覚しためだった。この時発覚したのは海外向け4車種について、側面衝突試験時に部品の1つであるドアトリムを特別な仕様にして試験を通していたり、ポール側面衝突試験で行われていた不正行為。

　この事件を重く見た国土交通省が、その後国内の自動車関連会社85社に対して過去10年間に型式指定を申請した全車種について不正の有無を調査するよう命じた。今回の5社の不正発覚は、その調査の結果が出たことによる。

　この調査は5月末までに68社が完了しており、今回の5社以外では不正は報告されなかった。調査が完了していない17社の中にはトヨタ自動車も含まれる。

　大規模な不正発覚を受けて、一夜明けた4日の東京株式市場では自動車株が軒並み下落。トヨタ自動車は前日比1.3％安の3,298円、ホンダは2.2％安の1,726円、マツダは変動なしの1,603.5円、スズキは1.9％安の1,856.5円、そしてヤマハ発動機は0.6％安の1,515円でこの日の取引を終えた。

　この件は海外メディアでも報じられており、日本の自動車業界における歴史的な事件となった。今後各自動車メーカーはどのように信頼を回復していくのだろうか？