緩和に財政出動でも厳しい中国経済

最近デフレと低成長が続く中国は先月に相次いで緩和策を発表。そして今月12日には大規模財政出動による景気刺激策を発表した。しかし18日に発表された第3四半期GDPは前期比年率4.6％増で目標の5％に届かず、また物価も0％台で低迷が続いている。

相次いで金融財政政策を発表

　1990年代からずっと高成長が続いてきた中国は、ここ数年不動産価格が下落に転じ急激に成長が減速してきている。不動産価格の下落によって恒大集団をはじめとする多くの不動産会社が経営危機に陥り、すでに倒産した会社も多い。

　同時にデフレにも陥り、中国のインフレ率は2023年3月から今年9月までの19ヶ月（1年7ヶ月）間、0％台かまたはマイナスが続いてきた。

　長引くデフレと低成長を打開するために、中国の中銀は9月24日に預金準備率の0.5％引き下げ、7日物貸出金利の0.2％引き下げ、そして住宅ローン金利の引き下げの3つの緩和策を発表。さらに翌25日には中銀貸出制度（MLF）の1年物金利を0.3％下げる追加緩和も発表した。

　この緩和策によって中国の株式市場は上昇期待が高まり、緩和発表後の1～2週間で上海市場の上海総合指数、CSI300指数、そして香港市場のハンセン指数といった主要株価指数は大きく上昇した。しかし10月の第1週は中国が国慶節の休暇にあたるため、上海株式市場は1週間休場した。

　国慶節が明けた8日に当局から追加緩和が発表されると期待されていなかったがそれがなかったことで、8日はハンセン指数が10％近く暴落。上海市場の2指数も朝方は暴騰したが、その後大きく値を崩してこの日を終えた。その後も18日まで株高の再来はなく、緩やかな下げが続いている。

　12日には中国政府が大規模財政出動によって低所得者を支援したり、不動産業界を下支えする景気刺激策を発表。この政策に対し株式市場は大きく反応しなかった。

　そして18日に発表された第3四半期GDPは、予想の4.5％より高いが前期の4.7％を下回る前年同期比4.6％増だった。

　中国の成長率はパンデミック前の2019年には6％台で安定していた。2020～22年のパンデミック期はロックダウンなどの影響で期によって変動が激しく、あまり参考にはならない。そしてパンデミックがようやく落ち着いてきたのが2023年後半頃だが、その後の成長率は5％前後で推移し、直近2四半期は4％台となっている。

　1990年代と2000年代は10％前後の高成長率の四半期が多かった中国だが、2010年になると勢いが衰え始め2020年代はすでに5％の維持も危うくなってきた。

　またすでに述べたように物価は1％未満で推移しておりデフレも深刻だ。中国は2015年頃から急速に出生数が減っており、今後は少子高齢化の影響も大きくなってくる。

　どの国も2桁の高成長を永遠に続けることは極めて難しく、中国も20～30年の高度成長期を経てすでにデフレを伴う低成長期に入っている。9月に発表した緩和策と今月発表の刺激策の効果はすぐに出てくるわけではないが、今後どこまで中国経済を回復させることができるのだろうか。