総理辞任後の週明けは円安・株高が進行

7日に石破総理が辞任を表明し、日本の政局は今後混迷化する可能性が高まった。総理辞任から一夜明けた8日月曜は、為替市場では円安が進行したものの東証は全面高相場となり日経225平均が一時800円超上昇した。

日経225平均は終値最高値

　7月に行われた参院選で与党・自公が大敗して以降、石破総理は非常に厳しい立場に追い込まれていた。それでも参院選以降「辞めるつもりはない」と述べて続けてきた石破総理だが、先週の2日火曜に森山幹事長をはじめ党四役が一斉に辞任を表明した。

　さらに8日月曜には自民党総裁選を前倒しで行うかどうか、自民党内での決定が下される予定だった。総裁選が行われると石破総理は出馬したとしても厳しい戦いになるため、その決定が出る前の7日日曜に自ら身を引く形で辞任を表明した。なお次期総裁選に出馬はしないと述べていた。

　しかしこれで今後日本の政局が混迷化する懸念が高まった。自民党は10月にも総裁選を行うと述べており、現在のところ高市前経済安全保障担当相と、小泉進次郎農水相が最有力候補2名と見られている。

　この2名以外にも出馬すると予想されている者が数名おり、勝利した人物が次期総裁になり、そのまま総理大臣になる可能性が高くなる。高市氏の場合は日本初の女性総理となる可能性がある。

　だが誰が総理になっても、現在山積みする問題をすぐに解決できる見通しはない。特に市民が期待しているのは物価高の解決だが、今のところセオリー通りに日銀に利上げを行うよう要求してインフレを鎮静化させることに意欲のある候補はあまりいない。

　高市氏はむしろ食料品の消費税率をゼロにするなど、物価を沈静させるのではなく減税によって市民の負担を減らす形で物価高に対抗しようとしている。この政策が上手くいけばよいが、減税は今後の財政赤字の拡大懸念を生じさせ円安や国債利回りの上昇の恐れがある。

　このような政策を持つ候補者が多いため、辞任会見後週明け8日の金融市場はセオリー通り円安・株高に動いた。先週5日金曜に発表された米8月雇用統計が大きく予想を下回ったことで、為替市場は一時1ドル＝146円台まで円高・米ドル安に動いた末に147円50銭で先週を終了。

　そして今週明け8日は今後の財政懸念を受けて上窓を開けて148円台から始まり、午前9時頃には148円50銭まで円安が進行。だがその後は日中から夜にかけて円高に動き148円を割って147円台で推移している。

　一方東証は全面高相場となった。先週を43,018円で終えた日経225平均だが、8日は今後の政策期待と円安を受けて前場から800円以上上昇。8月19日につけた場中の史上最高値まであとわずかと迫ったが更新はできなかった。しかし終値は625円高の43,643円で最高値を更新した。

　また夕方以降の先物も続伸し、9日火曜も最高値を更新できる可能性が出てきている。政局は混迷化に向かっているが、少なくとも株式市場にとって石破総理辞任は好材料だったということだろう。