終わりになりつつある中国の高成長時代

1990年代から高度成長を続けてきた中国だが、30年近く経った今、ついに終わりが見えてきている。2020年代は中国はもう高成長はせず、低成長時代に入っていることだろう。

最近の成長率は6％台

最近20～30年ほど、高度成長を続ける中国経済が常に世界の注目を集めていた。また注目されるだけではなく、日本や欧米先進国の多くの企業が中国に投資してきた。その投資のためもあり、中国は過去30年近く、平均10％程度の高成長を続けてきた。2008年にリーマンショックで世界中の経済が落ち込んだ時も、中国は比較的早く立ち直り、世界経済回復のけん引役となった。

しかしいくら中国といえども、永久に高成長を続けることはできない。最近になって中国の「成長鈍化」があらゆる指標に表われている。最もはっきり見えるのはGDP成長率で、10月に発表された2018年7～9月期の成長率は6.5％だった。そして今月発表される10～12月期もほぼ同じになると予想されている。

このまま行くと2018年通年の成長率は6.6％程度になると予想される。中国は1989～90年の2年間は天安門事件のために欧米諸国との関係が冷え込み、その関係で成長率が4％前後まで落ち込んだことがあった。このような特殊な事情のあった年を除けば、6.6％とは1981年以来37年ぶりの低成長率になる。リーマンショック直後の2009年でも9.2％だったので、今はその時よりも低い。

そしてここ1～2年は世界の景気は良かったのだが、それでも中国の成長率は鈍化が続いていた。例えば前回の景気の天井である2007年は14.2％もの脅威の成長で、2017年の6.9％より遥かに高かった。これだけ見ても中国の勢いが衰えているのがわかる。世界経済はこれから減速・後退に突入しようとしている。景気が比較的良かった2017年で6％台なら、今後世界経済が後退期に入ったらもっと落ちるのは明らかだ。

さらに米中貿易戦争の影響も無視できない。米トランプ政権は2018年から中国に対する追加関税攻勢を仕掛けており、中国も報復している。米中ともに拳を下すつもりはないので、この貿易戦争はまだ続くだろう。だがどちらの国にとっても少しずつダメージが出てきている。

もっと大きな問題として、中国も今後人口減少に直面する。中国は何十年も1人っ子政策を続けてきたが、人口減少対策として2016年についにこの政策を終了した。だが出生数はそれほど増えず、2017年の出生数が1750万人だったのに対し、2018年はそこから100～200万人も減っているという試算が出ている。

このように出生数が減れば、当然人口も減少に向かう。中国の人口は2020年代には転じると言われ、日本や他の先進国のように高齢化の問題もある。人口が減り、人口の平均年齢が高まると経済の活力はどんどん弱まって行く。

さまざまな側面から見ても中国の高成長時代は終わりに近づいているか、すでに終わっている。2020年代の中国は低成長の時代になるが、その時世界経済にけん引役がいるのかどうかは疑わしい。