米雇用統計ショックで週明けの金融市場に要警戒

1日金曜に発表された米7月雇用統計は予想を下回った。それだけならよくある話だが、同時に5・6月の2ヶ月の数字が大幅下方修正されたことが市場に衝撃を与え、金曜深夜から2日土曜未明にかけて金融市場が大変動。このショックの影響は週明けも続く恐れがある。

仮想通貨市場も週末にかけ下落

　1日金曜にアメリカの7月雇用統計が発表され、予想の前月比10万4000人増を下回る7万3000人増だった。これだけなら珍しくないことだが、今回は5月の数字が14万4000人増から1万9000人増に、6月が14万7000人増から1万4000人増にとどちらも大幅下方修正された。

　下方修正されただけではなく5・6月合わせてもわずか3万3000人しか雇用が増えなかった結果によって、アメリカ経済の後退懸念が急浮上。また同時にFRBが次回・9月の会合で利下げをするという見通しも浮上した。

　この修正にトランプ大統領が激怒し、週末になって「統計データを不当に操作している」との理由で、雇用統計の責任者であるエリカ・マッケンターファー労働統計局長を解任した。とはいえこれは明らかに不当な解任で、元労働統計局長のウィリアム・ビーチ氏など多くの人々から批判されている。

　前2ヶ月の雇用統計が大幅下方修正されたため、先週終盤の金融市場が大きく変動した。為替市場では発表前は1ドル＝150円50銭付近だった米ドル/円が、FRBによる早期利下げ観測が台頭したことでその後米ドルに動き3円ほど円高の147円台半ばで先週を終えた。

　利下げ観測が台頭しても米経済に対する懸念はそれ以上に強く、NY株式市場は下落。ダウ工業平均は一時800ドルほど下げた末に、542ドル安で終了。また個別株もAmazonの8％安をはじめ軟調な動きをした主要銘柄が多かった。

　リスク回避の売りは仮想通貨市場にも波及し、雇用統計発表前には1,720万円だったビットコイン（BTC）は発表後から週末にかけて下落。3日日曜には発表前から5％ほど安い一時1,650万円台をつけた。

　他の主要仮想通貨も同様で、イーサリアム（ETH）は雇用統計発表前の55万円から、3日には10％近く安い50万円まで下落。リップル（XRP）も雇用統計発表前445円から、3日には10％近く安い405円まで下落した。

　今回の雇用統計によって、今後の金融市場の方向性がかなり変わったと言える。まずFRBが次回・9月のFOMCで利下げを発表される確率が非常に高くなり、為替は今後円高・米ドル安に動きやすくなった。

　利下げ確率が高まったことはNY株式市場にとって買い材料となるが、一方で米経済の後退懸念も高まったためそちらは売り材料にもなる。したがってNY株式市場が今後も上昇を続けられるかどうかは微妙な情勢になった。

　しかしともかく週明けの東京株式市場はある程度下がることが予想される。4日以降の金融市場では、雇用統計ショックの影響がどこまで続くかが大きな注目材料となる。