米投資ファンドのサーベラスが西武HD株を売却へ

筆者 鳥羽賢 |

米投資ファンドのサーベラスが10年近く持っていた西武HD株を売却へ。

 2007~08年頃から、首都圏で主に鉄道事業を行う西武ホールディングスの株式を、米投資ファンドのサーベラスが取得して経営に参加していた。しかしそのサーベラスも、ついに西武の株を売却すると発表した。

 

西武の上場廃止後に株式取得

 

 西武ホールディングスは、もともと西武鉄道として上場していた。しかし2004年に有価証券報告書の虚偽記載が発覚。上場廃止措置となり、そこから経営が苦しくなっていった。そこで経営を救済してもらうために、米投資ファンドのサーベラスからの投資を受け入れ、サーベラスが西武の大株主となった。

 ただサーベラスはアメリカのファンドで日本人の心情を理解してないため、西武と対立してしまうことも頻繁にあった。西武とサーベラスの対立として話題になったのは、西武鉄道の不採算路線の廃止だ。

 西武鉄道にはいくつかあまり客が乗っていない不採算路線があるが、それでも地域の住民にとっては大事な足なので、西武は廃止にするつもりはなかった。ただサーベラスは、単に利益面だけを見て「廃止するべき」と持ちかけてきた。さらにプロ野球球団の埼玉西武ライオンズの売却を提案したこともあるが、これも西武側は反対していた。

 サーベラスはTOBをかけて保有株数を増やし、これらの案件を株主総会でごり押ししようとした。しかし予定の株数は集まらず、案件は否決されて終わった。

 その後西武は順調に経営を建て直し、去年の4月に西武HDとして再上場を果たす。上場時もサーベラスは「想定公募価格が低すぎる」などの理由で反対したが、結局折れて西武HDは再上場がかなった。

 それから約1年経ち、今回の西武HD株売却にこぎつけることができた。ちなみにサーベラスは最近日本での投資案件を縮小しており、国際興業や昭和地所などこれまで投資してきた案件の回収を完了。そして新たな投資案件は見つけていない。そこにきて西武HD株も手放すと、日本での投資業務がほぼなくなってしまうことになる。事実上同社の「日本撤退」と見てもいい。

 今回の売却で、サーベラスは西武HD株を1株あたり3,100円前後で売ると言われる。西武HD株の去年の上場初値は1,600円だったので、それから1年間で約2倍に上がった値段で売ることができた。上場する前に公募価格が低いと文句をつけていたサーベラスにとって、結局はアベノミクスの株価上昇で大儲けできた結果だ。

 西武の不採算路線の売却などいろいろと日本社会と軋轢も起こしたサーベラスだが、結果的には西武も再上場できたし、この投資はかなり上手くいった投資だったと言える。
 



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筆者について
鳥羽賢

慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。ポータルサイト『オールアバウト』では、「世界のニュース・トレンド」テーマなどで、数年間政治・経済ニュース記事を執筆。FXの専門誌『月刊FX攻略.com』でも各通貨ペアの特徴解説など、FX攻略記事を執筆した経験がある。主な著書に、『とにかくわかる! FX超入門者』(すばる舎)などがある。翻訳活動も行い、FX投資教材の翻訳を中心に、金融分野の翻訳実績も多数。自身でも投資を行い、FXのトレードも2006年以来7年以上にわたって継続している。