米国の中国と日本との関係の将来

2016年、前米大統領ドナルド・トランプ氏は就任後間もなく、多くの問題について中国の習近平国家主席と意見を戦わせました。トランプ氏就任のかなり前から中国の台頭は議論の的となっていたため、これ自体に驚きはありませんでしたが、物語は大きく変化しました。ジョージ・W・ブッシュ大統領とバラク・オバマ大統領は中国をパートナーと見なしていましたが、トランプ政権はこのアジアの大国を競争相手と見なし、後に脅威と見なしました。実際、2017年にトランプ氏が中国を訪問した後、国防戦略報告書には次のように要約されています。『中国とロシアは米国の価値観と利益に反する世界を形成しようとしている。中国は、インド太平洋地域で米国に取って代わり、国家主導の経済モデルの範囲を拡大し、地域を自国に有利なように再編することを目指している。』

その後の数年間は、トランプ氏が米中関係に「強烈な」影響をもたらした貿易戦争に悩まされましたが、最終的には貿易協定にいたりました。にもかかわらず、両国の関係は良好とはほど遠く、ジョー・バイデン氏が2020年の選挙で勝利したとき、彼はこの問題に関してかなりの混乱を感じていました。

バイデン氏対中国

穏やかな演説と外交への明白なコミットメントのバイデン氏が、穏やかな調停者として中国との関係の新たなページをめくると考えた人たちは、間違っていました。実際中国に対するバイデン氏の好戦的な態度をトランプ氏のようだと比較している人もいます。バイデン氏は大統領としての最初の100日間で、習近平国家主席との礼儀正しくない電話会談、香港での民主主義派の抗議に対する中国の姿勢への非難、新疆ウイグル自治区でのウイグル人の歴史的な迫害への非難、一部で武力侵略と解釈された台湾近くでの軍事動員への非難を行いました。アラスカでは米中の外交官の間での激しい応酬もあり、それは米中関係が「困難な方向へ向かっている」という中国の警告で終わりました。

確かに素晴らしいスタートとは言い難いですが、アメリカン・エンタープライズ研究所のアジア専門家の研究員であるザック・クーパー氏はバイデン氏のアプローチには目に見える以上のものがあるとしています。クーパー氏は『バイデン氏のチームは、摩擦が起こって中国が米国や同盟国、パートナーに圧力をかけても米国は後退しないということを、北京の指導者たちに理解させ、中国との関係にニュー・ノーマルを設定しようとしている。』と述べ、目標は、民主主義の強さと回復力を発揮するように築かれた世界中の同盟をさらに育て、最終的に中国に自国の立場を再考させることであると説明しました。

口先だけでは終わらない

外交に駆り立てられたバイデン大統領は、軍事力に言及し、中国の輸出に対するトランプ時代の関税を維持し、安全保障違反からアメリカの利益を保護するように定められた技術輸出制限を支持し、南シナ海では強力な軍事的存在を保持して、台湾への支持と最強の同盟国の1つである日本を守るという米国の公約を示すことに焦点を合わせました。しかし、米国の国家安全保障担当補佐官であるジェイク・サリバン氏によれば、重要なのは戦争を扇動したり示唆したりすることではなく、荒れた政治海域で世界的な民主主義の安定を守るというアメリカの役割を冷静に表現する動きだということです。彼は次のように続けました。『目標は中国を封じ込めることではありません。新しい冷戦を始めることでもありません。対立することでもありません。それは、激しく競争し、私たちの価値観と私たちが普遍的な価値観であると信じているものを後押しすることです。』

全体として、米中関係の将来は、少なくともしばらくの間、ほとんど変わらないように見えます。両国にとって非常に重要な輸出入の決定的なバランスを妨げない限り、他のさまざまな問題についての合意や意見の相違に関わらず、貿易関連のすべてのものに対する連帯に変化はないでしょう。

バイデン氏はチームに日本を迎える

日米関係に関しては、バイデン大統領は、日本の菅義偉首相を、彼の政権下でのホワイトハウスへ訪問する最初の外国人指導者に選ぶことから始めました。その後、バイデン氏は2021年3月に米国、日本、インド、オーストラリアの指導者が参加したクワッドサミットを開催し、「自由で開かれた、ルールに基づくインド太平洋」地域の促進に焦点を当てました。当然のことながら、中国はこれを憂慮しています。クワッドサミットで中国が具体的に指名されることはありませんでしたが、北京を拠点とする環球時報は、出席した4か国が結束したことに懸念を見せました。

クワッドサミットは、Covid-19パンデミックへの大規模な地域的対応などの多くの問題に対処しましたが、中国の対応に関しては、将来的に課題が長引く可能性が示唆されました。サミットが始まった後、バイデン大統領と菅首相は、台湾への支援を約束する共同声明を発表しました。これは、1969年以来初めての日米間の統一された支援です。米国のドイツマーシャル基金の中国専門家であるボニー・グレイザー氏は、『（バイデンのチームは）同盟強化の最初のプロセスを非常にうまくやった』とコメントしました。

未来を見据えて

全体として、バイデン氏が中国に勝ちたいのであれば、同盟、特に日本のような国との重要な同盟を確保することは間違いなく進むべき道です。ただし、バイデン大統領と習近平国家主席はどちらも、すぐにそれぞれ一連の内部課題に直面し、支持集めのために確固たる姿勢を見せなければならなくなり、しばらくの間、あらゆる種類の妥協でギャップを狭めるであろうことを覚えておきましょう。バイデン氏にとっては2022年11月の中間選挙であり、習近平氏にとっては2022年10月11月の中国共産党全国代表大会です。それまで、日米同盟がどのように発展するか、米国と中国の間のクールでありながら機能的な関係にどう影響を与えるのかを見るのは興味深いことです。