米中間の貿易問題は今後も長期的に続く

ここ数ヶ月間、米中間の貿易問題によって市場が動くことが多かった。アメリカは中国に対する貿易赤字をかなり気にしており、その解消にやっきになっている。一方中国もそう簡単にアメリカの要求を飲んだりしない。この構造はすぐに変わることはありえず、今後も対立が続いていくだろう。

米の対中赤字は巨額

ここ数ヶ月間はアメリカと中国の貿易問題が急速に浮上してきた。そしてこの問題によって、金融市場が大きく反応をすることが多かった。米中の貿易戦争が激化するという見通しが広がれば株式市場が下がり、貿易戦争が回避に向かうと思われれば株式市場が上昇した。

この問題が浮上した原因は、アメリカの対中貿易赤字が巨額になったことにある。2017年のアメリカの貿易赤字全体は7,962億ドル（約87兆6000億円）だった。しかしその40％以上、3,752億ドル（約41兆3000億円）は中国が占めている。

そしてアメリカの言い分としては、中国は正常な競争を行なわずアメリカに対する貿易黒字を積み重ねているという。例えば知的財産権についても、中国は本来守るべきルールを守っていないと主張している。

またトランプ政権は「アメリカ・ファースト」政策を掲げていることもあり、トランプ政権になって中国に対してかなり厳しい姿勢で臨むようになった。その表れが、3月上旬に鉄鋼やアルミに対して高関税をかける政策の発表だった。

この発表をきっかけに米中間の貿易対立は激化しており、中国が報復措置を発表したりアメリカが追加関税を発表したりしている。しかし先週末にはワシントンで米中貿易協議が行なわれ、中国がアメリカからの輸入を増やすことで合意して決着した。

この協議によって一定の進展があったように見えるが、米中間の貿易問題はこれで終わることはない。むしろ今後も長期的に続くと思われる。

協議で合意はしたが、米中間の対立を生みだす構造はほとんど変わっていない。中国は世界2位の経済大国になり、アメリカに対する輸出も増えた。そのためアメリカの対中貿易赤字は巨額になった。

アメリカの主張では中国はルールを守らず貿易黒字だけを生んでいるために、それを是正しなくてはいけないとしている。だが中国という国はそう簡単には変わらない。中国は共産党によって統治されている国で、13億人以上いる国民もその常識の下で生きている。アメリカのような国の常識は通用せず、10億人以上いる人々がすぐに変わることはありえない。

だから米中間の隔たりは今後も残るだろうし、貿易問題での対立も今後もまだまだ続く。これからは市場が米中の対立によって動く時代が、当分続くだろう。